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Microsoftは2017年3月14日(米国時間)、世界各国でチャットベースの作業空間「Microsoft Teams」をGA(一般提供版)として完成させ、Office 365の新サービスとしてローンチした。既にチームコミュニケーションツールとしてはSlack(スラック)など多くのシステムが普及しつつ、職場におけるコミュニケーションの形を変えつつある。

日本のビジネスメールに関する悪習慣として、関係者へ同報発信するCC(カーボンコピー)がある。登録された自分は関係が薄いと判断すれば、そのまま読み飛ばしてしまうが、CCに追加した発信者は応答を求めるなど、不明確な温度差が生じてしまう。また、メールは長文になりがちになるため、応答するにも多忙時は大きな負担になるだろう。そこで"本当に返事がコミュニケーション"として双方向的な対応が可能になるチャットコミュニケーションツールに注目が集まるのだ。

Microsoft Teamsは、Office 365 Business Essentials/Business Premium/Enterprise E1/E3/E5プラン契約者に無償提供されるサービスである。チームと呼ばれるグループを設け、必要に応じてミーティングや特定プロジェクト専用のチャネルを作成。各チャネル内では参加者がテキストや画像、絵文字を使ったチャットでコミュニケーションや情報共有などが行える。

参加者はテキストや画像コメント以外に"いいね!"で応答し、必要に応じたメール送信やSkypeビデオ通話を通じたオンライン会議も即時行える。また、全体の流れはログや履歴で追いかけられるため、仕事の流れや状況も把握しやすい。なお、クライアントはデスクトップアプリやWebアプリの他、iOS/Android/Windows 10 Mobile向けアプリケーションを用意する。

チャネル内には、チーム内で多用するコンテンツをアプリケーションベース参照する「タブ」を追加し、ExcelやPowerPointなどOfficeアプリケーションを用いた情報共有が可能だ。さらにTwitterなどサードパーティーベンダーが提供するAPIを利用することで、各アプリケーションとの連携を行う「コネクタ」を使えば、タブとは異なる情報共有環境も実現できる。

日本マイクロソフトによれば、コネクタ利用に関しては各ベンダーからの問い合わせが増加中だという。また、執筆時点では日本語未対応だが、AI(人工知能)で動作するサポートオペレーター「T-Bot」を利用し、Microsoft Teamsの使い方をサポート。同社は社内だけで使う3文字略称が多いため、正式名称を返すBOTなどいくつかの実験を行っている最中だ。

管理面はテナントの全体管理者が個別設定を行い、チーム作成の可否はOffice 365グループの設定に依存する。例えばチャネルの削除やタブの作成、コネクタの作成可否を設定できるが、ビデオ会議や画面共有はMicrosoft Teams側で個別設定する仕組み。この辺りは煩雑な印象が拭いきれないが、Microsoft Teamsの開発スタイルはアジャイルかつUserVoiceによるユーザーの意見を優先しているため、柔軟な対応が期待できる。なお、2017年第2四半期以降は非Office 365ユーザーをゲストとしてチャネルに招く機能の実装などを予定しているという。

チャットコミュニケーションツールと言えば、日本国内でもSlackやLINEが広く知れ渡っている。日本マイクロソフトが2016年末に行った調査では、1,000社中約70%がLINEなどを使用し、米国では人気のSlackも日本では非開発者の利用は多くないという興味深い状況が明らかになった。今回日本マイクロソフトはチャットでコミュニケーションツールという市場にチャレンジする形となるが、同社は各OfficeアプリケーションやActive Directoryとの連携、Office UI、セキュリティ、管理運用の容易性で自信があると強調する。

日本マイクロソフト社内でもMicrosoft Teamsを利用しているが、本製品担当者はメールと異なりプロジェクト単位で内容が切り替わる点を高く評価している。通常の現場であれば複数のプロジェクトを並行して抱えるのは一般的だが、メールでは並列的に情報が錯綜し、その切り分けを行うだけでも労力を必要とするはずだ。だが、Microsoft Teamsであればチームでプロジェクトを切り分け、さらに案件ベースのチャネルを作成することで、整理や切り替えも素早く行えるという。同氏は「顧客も同じでは?このような場面にTeamsはマッチする」と語る。実際に同社内でもMicrosoft Teamsのファンは増えているそうだ。

前述のとおりMicrosoft Teamsは無償サービスであり、Office 365の訴求性を高める1機能だが、多様化するツールの併用と世代間のギャップを埋める興味深い存在である。企業ごとの文化によってチャットコミュニケーションツールが合致するか否かという根本的な課題は残りつつも、働き方改革の実践につながる強固な道具なる可能性は否定できないだろう。

阿久津良和(Cactus)

(阿久津良和)