13日、閑散とした上海のロッテマートの店内で作業する男性。同市のほとんどのロッテの店舗は閉店した(JOHANNES EISELE/AFP/Getty Images)

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この記事は、THAAD配備、中国はなぜ米国を叩かないのか?(1)および(2)の続きです。

政権維持に敵を作る中共

 中共は政権を維持していくために、国内にも国外にも絶えず仮想敵を作らなければならない。

 国外において、中共の長期的な敵は米国。中共が政権を発足してから、しかも改革開放の始めから常に米国に敵対してきた。中期的な敵は日本だ。毛沢東時代やその後一時期において、中国と日本には蜜月期間にあった。フィリピンや韓国は、中共にとって短期的な敵になる。

 世界第2の経済体の中国は、なぜ周辺国と絶えず敵対してきたのだろうか? これは、中共の価値観と周辺国の価値観が完全に相違しているからだ。

 中国国内において、中共が唱える共産主義思想をほとんどの国民が信じない今、中共は政権維持のため、イデオロギー上、共産主義に代わって民族主義を唱えなければならない。

 いっぽう、民族主義は諸刃の剣だ。2012年の反日運動で、中国共産党政権が国民の民族主義意識を利用して、大規模な反日デモを煽動したが、目的を達成した後、逆に反日デモの取り締まりに変わった。それは中国当局は、国民の怒りが最初の日本製品や日系スーパーから中国共産党政権自身に移り、政権転覆につながることを恐れたからだ。

参考記事:「火事場泥棒だ」イタリア領事館も被害、暴徒化する反日デモに市民が批判

 中国当局は、インターネット上の情報や国内メディアの報道も検閲し、当局にとって都合の悪い情報が入ってこないために、当局に煽動された国民のほとんどは、何も知らないままで利用されたのだ。

北朝鮮高官が訪中、目的は?

 北朝鮮の李吉聖外務次官が2月28日、北京入りした。一部のメディは、北朝鮮高官の訪中はマレーシアで殺害された金正男氏に関連すると報じた。しかし、この高官の訪中目的はTHAAD配備との関係性が大きいだろう。

 金正男氏殺害に関して、中国当局は北朝鮮から石炭の輸入を停止するという表面的な制裁措置を採った。中国当局は、北朝鮮の金正恩が異母兄の金正男氏の暗殺を企んだことに強い不満を持っているが、故人のために北朝鮮高官が中国当局の高官と会談しても、何の結論もでないだろう。

 しかし、THAAD配備をめぐって北朝鮮、中国当局、韓国、米国などの関係国は動いている。北朝鮮の高官は中国当局との間で、韓国のTHAAD配備の対策で会談を行ったのではないかと考える。ただ、この会談も実質的な結果は何もない。

 北朝鮮は、中共が長期的な敵である米国をけん制するための一つの駒。北朝鮮高官との会談の通じて、中共は欧米諸国、韓国そして日本などに対して、依然として北朝鮮に強い影響力を保っているとの印象を与える狙いがある。これによって、欧米諸国は中国当局が北朝鮮に圧力をかけていくだろうとの期待感を持つかもしれない。

 しかし、中国当局と北朝鮮は、欧米諸国と同盟国を翻弄しているに過ぎない。

(おわり)

(大紀元時事評論員・横河、翻訳編集・張哲)