写真提供:マイナビニュース

写真拡大

●LINEモバイルに感じる本音
競合多数のMVNO市場。そこに昨年9月に参入したのがLINEモバイルだ。MVNOにおいて一大勢力になりえるサービスであり、その注目度は高い。LINEモバイルは14日、サービス開始半年間の実績を発表したが、現状はどうなっているのか。

○"よくわからない"が本音

出だしから恐縮だが、「LINEモバイルが好調か不調か、その評価は?」と問われたら、答えは「わからない」だ。MVNO各社の影響力の大きさを示す上で、加入者数は重要な指標だが、その数値が明かされなかったからだ。

LINEモバイルの加入者総数は万単位で存在することは間違いないが、それが2万なのか、3万なのか、10万なのか、20万なのかはまったくわからない。決算短信にも「LINEモバイル」は1フレーズしか登場しない。何も言えないのだ。14日に開催した発表会でわかったのは、なんとなく好調そうだ、ということくらいである。

同日に公表されたのは、申込完了件数(絶対値は非公開)が順調に推移し、平均月額基本利用料は大きく成長、ユーザー満足度も高く解約率が1.2%以下と低いことと。これらだけで他社との現状比較はできない。

●新サービスにも新しさはない
○足場固めの半年

この半年間に行ってきたことも、安定的な通信サービスの提供、LINEアプリを介した「いつでもヘルプ」というユーザーサポート体制を整えて運用を開始したことといったように、MVNO事業を運営する上での足場固めに過ぎない。

攻めの部分で言えば、特定のアプリの利用に際しての通信量をノーカウントにするカウントフリーの対象や関連プラン(LINE MUSICも対象とする料金プランの新設)を増やしたことくらいだ。大きく出ることはなく、着実に事業を営んできたのがLINEモバイルの今なのである。

○今後のサービスにも目新しさはない

着実さはこの先も同じかもしれない。発表会において、今後はサービス、タッチポイント、プロモーションの3つを注力していくと公言したが、そこにも目新しさはない。

サービス面では、初夏をメドに通話定額オプションの提供、他社の音楽配信サービスもカウントフリー対象に加えるといった強化を図る。タッチポイントについては、リアル店舗での受付に対応し、即日開通を可能とし、早期に100店舗体制にもって行く。プロモーションでは、女優ののんさんを起用したTVCMでLINEモバイルの認知を拡大させる。

LINEが提供予定のサービスの詳細は不明であるが、通話定額はすでに他社で存在しているし、サービス面でLINEらしさや新しさは感じられない。タッチポイントも他社は先行して整備を進めており、自前の店舗を持つなどして注力している。TVCMも他社はすでにバンバン行っている。のんさんを起用した理由として「全世代に受け入れられる」としており、広範にサービス認知を図ろうとする意図はわかるが、それは他社とて同じだろう。

一連の取り組みを総括すると、LINEモバイル自体、そんなことは思ってもいないだろうが、結果的に他社の後追いになってしまっている。こう記すと、なんだかアンチな見方をしていると思われそうだが、筆者の真意はまったくの逆だ。

●これからが怖い
○本気になるのはこれから

今回の発表会で印象的だったのが、LINEモバイルの嘉戸彩乃代表の言葉だ。それは次のようなものである。「小さく始める。どういうサービスが響くのか、自信を持ってサービス提供できると思った段階で一気に勝負をかける」。

LINEモバイルはサービス開始段階から慎重に取り組んできた観がある。サービスそのものを発表したのは2016年3月、2016年9月には2万人限定で先行提供をしてから本サービスを開始している。石橋を叩くように進み、サービス展開を図っている。

それに、そもそもLINEモバイルはMVNO市場に後発参入である。まだ足場固めの段階だ。仮に半年で相応の加入者を獲得できているならば、それは他社にとって脅威でしかないだろう。これまで、LINEモバイルへの加入はこれまでウェブ経由に限定されており、認知拡大の経路も口コミやインターネット上の評判と偏ったものにすぎず、経路は限られていたのだ。そこからTVCMによってサービス認知が拡大し、リアル店舗での受付対応も行われるならば、これから本格的な成長を迎えることになる。

つまり、LINEモバイルは「まだ本気を出していないだけ」状態である。将来的にはLINEならではのサービスにも期待されるところだ。攻めに転じたときこそ、LINEモバイルの真価が問われそうだ。

(大澤昌弘)