いつまで産める?「高齢出産」の最新タイムリミット!(3)50代の出産では合併症も

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 実際に高齢出産を経験した女性に話を聞いた。2年前、不妊治療を経た体外受精により、43歳で男児を産んだ国友さん(仮名)だ。

「お医者さんからは厳しい妊婦生活になると聞いていました。最初の5カ月ほどは流れやすい(流産)ので、安静も安静で、家事から何から夫に任せきりで、私は寝転がってることが多かったですね」

 お腹の中ですくすくと育った胎児だが、いざ出産のタイミングで問題が。

「予定日が過ぎても陣痛が来ないんです。胎盤の機能が低下しているせいらしく、薬を使った誘発分娩になった。その後陣痛が来て、分娩台にあがってイキんでも出てきてくれなくて。結局、12時間の大出産となりました。単純に、『若ければもう少しラクに産めたんだろうな』って感じましたね」

 母子ともに問題なく、現在2歳となった息子さんも元気に過ごしているという。

 高齢出産においてお産がハードになることはあるのだろうか。都内の産婦人科で働く助産師に聞いた。

「やはり年齢が上がるほど、お産のキツさは上がる印象があります。ウチの病院でも、20代で1人産んだ女性が、40代で2人目を出産したのですが、彼女いわく初産の倍ツラかったとこぼしていました」

 ある産婦人科医は、50歳での「超高齢出産」を診た経験があるという。

「その方は本当に運が良かったと思っています。その年齢で出産することで、身体にかかる負荷は相当なもの。20代や30代、ましてや40代と比べても筋肉が落ちていますし、母体にかかるリスクは相当高くなります。私の個人的な意見としては、やはりそこまでの年齢に達する前に、なんとか出産を終えておいたほうがいい。無事に産んでも、その後の育てもあるわけですから」

 50代で出産することは、理論上は可能ながらかなり稀な例であると言える。厚生労働省の13年調査によれば、50歳以上で出産した件数は58例。45〜49歳でも1200例程度と、極めて数が少ない。

 超高齢出産には、それ特有のリスクを伴うという。

「胎児がお腹にいる間に、胎盤から子宮が剥がれてしまう『常位胎盤早期剥離』の可能性が上がります。これは非常に危険な状態で、胎児の臓器に悪影響が出たり、最悪の場合、母子ともに死亡するケースもある。流産の確率も非常に高い」

 また、50代以上の場合、加齢により血管がもろくなり、脳出血や心筋梗塞の合併症を引き起こす確率も上がる。

 どうしても超高齢出産にかかるリスクはまぬがれない。それではそのような機会に直面した場合、いったいどのような方法をとれば良いのだろうか。

「やはり夫婦やご家族でしっかりと話し合うしかありません。母体の健康具合や、出産後の育て方、周囲の協力を得られるのかなどを精査する必要があります。中には中絶の道を選ぶご家族もいらっしゃいますが、それはそれでポジティブな選択であると思いますね」(前出・産婦人科医)

 該当する方はいま一度、周囲との連携を図るべきだ。