昨年、東京都知事に就任した小池百合子氏の人気が止まらない。東京オリンピック施設や豊洲新市場の移転問題などをめぐる都議会自民党との対決姿勢が、世論の絶大な支持につながっているようだ。なぜ小池氏はリスクを冒してまで古巣・自民党に噛み付くのか。先ごろ東京都政の問題点を解説した『誰も書けなかった東京都政の真実』(イースト・プレス)を上梓したジャーナリストの鈴木哲夫氏に話を聞いた。(構成/清談社 岡田光雄)

日本随一の金満自治体・東京都
予算案から見えてくる女帝の野望

――小池知事が改革を進める“東京都”は、どんな特徴を持つ自治体なのですか?

  一言でいうと“独立国”です。なぜ数ある地方自治体の中で東京だけがそうなのかといえば、単純な話“お金”があるから。都内総生産は94兆4000億円(2016年度、見込み)にのぼり、大企業のほとんどは東京に本社を置いています。国から交付金をもらわず、税収だけで賄うことができる、都道府県の中では稀有の自治体。都の年間予算は13兆円以上で、これはスウェーデンの国家予算に匹敵します。

――お金がありすぎると、よからぬことを考える政治家も出てきそうですね。

 お金で苦労している自治体なら財政規律をしっかりするでしょうし、一所懸命、税収も上げようと努力します。でも東京は裕福なので、ついつい気が緩んでしまう。舛添前都知事を思い出してください。海外出張時の飛行機はファーストクラス、泊まるホテルはスイートルームと贅沢三昧でした。贅沢は過去の知事も変わりません。

――小池知事は2017年度都予算案を1月末に公表しましたが、そこから何が見えてきますか?

 予算案を見てみると、これから小池さんが何をやりたいのかが、手に取るようにわかります。例えば、温暖化対策や環境プロジェクトの資金をマーケットから集める目的の債券、“グリーンボンド”を200億円分発行しました。これは小池さんのライフワークである環境対策と経済をミックスしたもの。全体的には民間の経営感覚を取り入れて予算を組むことで、浪費癖が染み付いた都政に一石を投じるつもりでしょう。

 水素エネルギー普及の30億円やLED照明の導入費90億円からは、東京を世界のモデルとなる“スマートシティ”にしていきたいという意志を感じます。彼女は昔から環境への関心が高いですからね。 また、待機児童対策など子育て環境整備に1381億円(昨年比4割増)を充て、人手不足に悩む保育士をさらに1万8000人増やすなど、女性が頑張れる社会を作ろうとしていることも分かります。 

 一方で、予算書の見方を変えると、小池さんが叩こうとしている“敵”も見えてくるのです。

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