大相撲春場所で、大関復帰を目指す琴奨菊が好調だ。

 初日に横綱・日馬富士を豪快に寄り切り、2日目も白星を挙げ、過去、4人しか成し遂げていない陥落直後の場所での大関返り咲きに向け、この上ない出足をみせている。

■伝わってくる好調ぶり

 17年ぶりに訪れた『四横綱時代』の今場所初日、華やかなその幕開けにいきなり横やりを入れた。まるで自らも割って入り、且つ主役の一人に名乗り出るかの如く。

 1年前、自身の綱取り場所とするべく、大きな期待と共に注目を集めていた大阪の地。32場所在位した大関の座から離れ、迎えた今年の同じ春場所。初日、横綱・日馬富士に対し、素早い立ち合いから胸を合わせ、上体を抱えたまま前へ出続け、寄り切る。日本出身力士として10年振りの優勝に沸いた昨年初場所に何度も見た、琴奨菊の得意の形だ。力強い一気の寄りで、四横綱の一角を浮き上がらせ、俵の外へと追いやった。取組後、土俵下で館内の大歓声の中、呼吸を整えながら少し間、両目を閉じていたのが印象的だった。

 2日目も西前頭・二枚目の貴ノ岩の当りを正面から受け止め、下がることなく圧力をかけて寄り倒し。二日続けての白星は何れも相手には何もさせておらず、会心の内容と言っていいだろう。

■ふたたび、大関の地位へと

 先場所12日目で負け越し陥落が決まった直後、『負けて終わりではなく、辞めたら終わり』と語っていた琴奨菊。同じ場所、共に長きにわたり大関の地位で凌ぎを削ってきた稀勢の里が最高位まで登りつめる成績を残したのとは対照的に、心身とも迫る衰えを必死に覆い隠そうとする言葉に感じられた。

 だが今場所、両足はテーピングで固められているものの、その影響を微塵も感じさせず、気持ちも充実しているかのような土俵上での躍動だ。3日目には同じく連勝中の高安に敗れたものの、土俵際まであと一歩のところまで追い詰めている。三日間とも足の踏み込みも良く、常に攻め続ける姿勢がみられた。

 大関復帰に向け、まだあと八番、勝ち名乗りを受けなければならない。だが春の陽光とともに返り咲きへの希望の光も見えくる程の好調ぶりが示す存在感は、群雄割拠の春場所の中心になったとしても決して不思議ではない。