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●スピーカーのように広がりのあるサウンド空間を
JVCケンウッドは14日、ヘッドホンリスニングの常識を変える新技術「EXOFIELD (エクソフィールド)」を発表した。また、往年の人気ブランド「Victor」を復活させ、EXOFIELDを同ブランドの新型ヘッドホンに搭載する方針だという。

○あのビクターが復活!!

同日開催された発表会には、JVCケンウッド 代表取締役社長兼CEOの辻孝夫氏が登壇し、同社の歴史を紐解いた。JVCケンウッドは、それぞれに強い技術力と輝かしい歴史を持つ「日本ビクター」と「ケンウッド」が合併して設立されたの会社だ。辻氏は合併前を「JK1.0」、合併後を「JK2.0」と定義し、2016年6月から新しいフェーズ「JK3.0」に入ったと説明した。

「日本ビクター、ケンウッドともに尖った製品で新しい時代を切り開いてきた。合併後の『JK2.0』は残念ながら縮小均衡の時代だったが、『JK3.0』に入り経営体制を一新した。企業ビジョンの『感動と安心を世界の人々へ』を実現すべく、技術を核とする尖ったソリューションを提供していく。企業文化も含めて、これまでのすべてを根こそぎ変えていきたい」と辻氏は意気込む。

そして、現社名のJVCケンウッドとなって5周年を迎える今年は、1927年の日本ビクター蓄音器の設立から90周年というアニバーサリーイヤーでもある。これまで、JVCケンウッドは社名の通り、JVCとKENWOODの2つのプロダクトブランドを展開してきたが、ここにVictorブランドを復活させることを辻氏は宣言。「Victorブランドを再定義する。DNAである『誇りと探究心』を復活させ、これを追求していく」と言葉に力を込めた。

○音楽の聴き方を変える「EXOFIELD」

Victorブランドの復活にあわせ、新製品にはヘッドホンリスニングの常識を変える頭外定位音場処理技術「EXOFIELD」を搭載する。EXOFIELDを簡単に言うと、音場 (どこで音が鳴っているか) を調節し、スピーカーで聴いたときような奥行や距離感を、ヘッドホン再生でリアルに感じられるようにする技術だ。

EXOFIELDでは、音が平板に陥ってしまうヘッドホンリスニングの欠点を根底から覆す。「音の発生源との距離感が明確になり、音の定位感が増す」とJVCケンウッド メディア事業部 CPMの林和喜氏は語る。

ただ、その開発は一筋縄ではいかなかったようだ。というのも、ヘッドホンの音場は、個人個人の耳の形や顔の形状で変わってしまう。そこで各人に最適な音響特性の測定が必要になるのだが、従来のやり方では一人あたり数時間もかかってしまう。そこでJVCケンウッドでは「耳内音響マイクシステム」を新たに開発。これは超小型のマイクを外耳道に配置する測定法で、短時間で正確な測定を可能とした。

ベストなのは、EXOFIELD搭載ヘッドホンと専用アプリを用意すれば、誰でもすぐに利用できるという仕組みだが、現状では耳内音響マイクシステムを使った事前測定が欠かせない。しかも、防音設備の整ったリスニングルームで、ユーザー一人ひとりに対して行わなければならない。この件について林氏は、「ビクタースタジオ、当社の試聴室、あるいは提携した事業先などで実施することを検討している」と回答した。

今後のスケジュールについては、「5月11日に正式発表する。それにともない個人ユーザーの音響特性の測定も開始する。製品の投入は2017年度の上期を目処に考えている」とのこと。また、5月13日・14日に東京国際フォーラムで開催される「音展」にも出展する予定だ。

なお、EXOFIELDはスマートフォンのアプリにも実装可能。ハイレゾ音源の再生やマルチチャンネル再生にも対応できるとのことで、身近なところではホームシアターやVRゲームへの活用も期待される。自動車や航空機のシミュレーター合わせれば、より没入感が増したゲーム体験が可能になるだろう。

発表会の終了後には「視覚障害を持たれている方のサポートとして、何かできないか検討している」という話も出ていた。耳から得られる情報だけを頼りに生活されている方に、EXOFIELDが貢献できることはたくさんありそうだ。

●国産化第1号の蓄音器、VHSデッキ第1号機など秘宝展示
発表会場には日本ビクターの歴史を象徴する秘蔵品が展示されていた。いくつかの製品をここで紹介しよう。

(近藤謙太郎)