チャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦。第1戦(アウェイ)を0−4で落としたバルセロナは、第2戦を6−1(通算6−5)で勝ち、パリSGに大逆転勝利を飾った。

 滅多に起きないまさかの事件。引き合いに出されるのは、03−04のCL準々決勝。第1戦のアウェイ戦を1−4で落としたデポルティーボが、第2戦でミランを4−0(通算5−4)で下した一戦だ。

 しかし第1戦は、デポルにとって点差ほど悲観する内容ではなかった。メディアは、まさかの大逆転勝ちと報じたが、第1戦を直に観戦したこちらには、逆転は十分あり得る出来事に見えた。

 第1戦の1−4は3点差ながら、アウェイゴールを奪っているので実質的にはそれ以下。今回のバルサの0−4に比べれば可能性は高い。

 ミラン対デポル戦以上に、今回のバルサを見て想起したのは、イスタンブールで行われた04−05のCL決勝だ。前半を終えて0−3。ミランはリバプールに対して断然、優位な立場にあった。ハーフタイムの場内には、試合は終わったも同然の空気が立ちこめていた。応援精神の高さには定評のあるリバプールサポーターも、半分戦意を失った状態にあった。

 後半、リバプールは、そこから3点を連取。延長PK戦の末、ミランを退け、欧州一の座に就いたのだが、反撃の方法は、前年に大逆転劇を演じたデポル、そしてその12年後に大逆転劇を演じたバルサにそっくりだった。攻撃的精神を全開に打って出たという点で一致するが、布陣的な視点で眺めると、より近いのはバルサになる。

 04−05のリバプールは後半、布陣を4−2−3−1から中盤ダイヤモンド型3−4−3(3−3−3−1)に変更。高い位置から、ボールを奪う作戦に出た。今回のバルサも、第2戦に臨むにあたり布陣を変更した。4−3−3から中盤ダイヤモンド型3−4−3(3−3−3−1)へ。

 ともに採用した布陣は、中盤ダイヤモンド型3−4−3。攻撃的な布陣の中にあっても、最も攻撃的な布陣だ。それは、さあ行け! の号令のように聞こえた。従来の4−3−3の最終ラインを1人削り、その余剰分を、1トップ下を新たに設けることに充て、そこにメッシを座らせたのだ。

 他国に比べ、3バックが幅を利かせる日本。だが、この3−4−3は、ほとんど見かけない。3バックと言えば、よくて中庸。守備的なものが主流を占める。代表チームでは06年10月の対ガーナ戦で、オシムが披露したことが一度あるだけだ。

 この3−4−3。バルサでは古くから用いられている。直近ではグアルディオラ時代。2011年クラブW杯は、それで優勝を飾っている。にもかかわらず、日本には伝わらない。それ以前に、日本における3バックの解釈そのものが荒っぽい。4バックは数列表記で語られるが、3バックは3バックだ。詳しく語られていない。こちらにも4バック同様、超守備的なものから超攻撃的なものまで、各種揃っているというのに、だ。

 Jリーグの一般的なクラブで用いられている3バックと、逆転劇の余韻、冷めやらぬ世界的にいまが旬のバルサ式3バックと、違いは即、明らかになるはずだ。

 だが、先週末に行われたJリーグ中継(ガンバ大阪対FC東京)でも、実況アナ氏、解説者ともに、その点について言及しなかった。日本と世界は無関係だと言わんばかりの中継に終始した。

 アナ氏は、今季からガンバ大阪が、3バックを併用するようになったという事実は伝えた。「4バックと3バックとを併用していかなければ、シーズンを乗り切れない」との監督の言葉も紹介した。しかし、そこ止まり。なぜ必要なのか。それぞれの布陣には、どんな意味があるのか。使い分ける方法等々、本質的な話は出なかった。