<欧州はどこまで右傾化したのか──それを占う今年最初の試金石、オランダ下院選が15日に迫った。ウィルダース党首率いる極右・自由党は、反イスラム、反EU、反移民の波に乗って最多得票を目指す。他党はすべて連立を拒否しているが、ウィルダースにはそのほうが好都合な理由とは>

2016年7月、ちょうどドナルド・トランプが米共和党大会で大統領候補の指名を獲得したころ、ヨーロッパでは髪を完璧にセットして晴れやかな笑顔を浮かべたある政治家が破局を予測する演説を行った。「ヨーロッパは実のところ、崩壊しつつある。内側からも外側からも爆発寸前だ」と、その政治家は言った。「言うまでもなく、原因はすべて、数十年にわたって国境を開放し、文化に優劣はないという多文化主義の政策をとってきたところにある。それが、現代ヨーロッパが抱える最大の病だ」

この演説を行ったのは、反イスラムを掲げるオランダの極右政党、自由党(PVV)のヘールト・ウィルダース党首。国際舞台における彼の名声は、ドナルド・トランプの台頭でますます高まるところとなった。ポピュリズムに訴えるトランプの選挙公約は、ウィルダースの主張とイデオロギー的に類似している。

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ウィルダースはアメリカでは好奇の対象でありアウトサイダーだと思われているが、祖国オランダでは極右派政治家として徐々に支持者を増やしており、ヨーロッパで最も定評あるポピュリスト政治家の1人になろうとしている。

過去最多28政党が乱立

PVVは今、オランダ下院(定数:150)に12議席を持つ。3月15日の下院選挙では、反難民と反EUの潮流に乗って勢力を拡大し、最大議席数の獲得を目指している。ウィルダースにはどのくらい勝算があるのだろうか? 選挙で勝利をおさめたら、いったい何をするつもりなのだろうか?

ウィルダースは2004年、中道右派の自由民主国民党(VVD)を離党してPVVを結党した。その土台となったのは、ポピュリストのピム・フォルタインが反イスラムを掲げて立ち上げたフォルタイン党だ。フォルタインは、2002年に動物愛護運動家に暗殺されるまで、オランダ政界の極右派内に新たな政治空間を生み出そうとしていた。

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ウィルダースの兄で評論家のパウル・ウィルダースは本誌のインタビューに応え、ヘルトの極端さについてこう述べている。「彼はたいそう人好きがして機知に富み、魅力的でユーモアがある......ただし、政治の話をせず、意見が対立しなければの話だ」

オランダの政党制は非常に複雑で細分化している。3月15日の選挙では、過去最高の28政党が下院の150議席をめぐって争う。過半数を超える議席を獲得する政党はなさそうだが、それはオランダにとってはいつものことであり、複数政党が連立を形成することになる。かつては規模が大きかった政党の得票率が徐々に下がっているため、連立政権には4〜5党が参加する可能性がある。

ジョシュ・ロウ