蕁麻疹の対処法|原因不明のかゆみを抑えるには

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突然、赤いふくらみができ、激しいかゆみを伴う「蕁麻疹」。一時的な症状を放っておくと慢性化することもあるので、正しい知識や対処法を知っておくことが重要です。今回は、蕁麻疹が起こるメカニズム、蕁麻疹の種類や治療法、簡単にできる対処法についてご紹介します。

目次

蕁麻疹とは?蕁麻疹の種類蕁麻疹の治療法は?家庭でできる蕁麻疹の対処法

蕁麻疹とは?

蕁麻疹とは?

蕁麻疹は、体の一部あるいは広い範囲の皮膚に赤いふくらみ(膨疹)が現れ、しばらくすると消える病気です。症状が出た時はかゆみを伴い、チクチクする感じや、焼けるような感覚をともなうときもあります。ふくらみの形も、円形、楕円形、線状、花びら状、まだらに出る地図状などがあり、大きさは2〜3mmから、直径10cm以上のものまで様々です。
 
「蕁麻(じんま)」という植物の葉に触れると現れる皮膚の病気に似ていることから名付けられたといわれています。

蕁麻疹が起こるメカニズム

私たちの皮膚の表側には角質層などからなる表皮があり、その下には真皮があります。表皮深層と真皮には、外部の刺激物などの侵入時に反応する、肥満細胞(マスト細胞)や好塩基球(こうえんききゅう)が存在します。
 
蕁麻疹は、何らかの刺激によって肥満細胞や好塩基球に蓄えられている「ヒスタミン」や「ブラジキニン」などの物質が放出された結果起きる症状です。
 
ヒスタミンやブラジキニンなどが放出されると、血管が拡張し、血液中の液体成分が外に漏れて、皮膚表面に赤みやむくみをつくります。症状が現れてから数十分〜数時間で跡形もなく消えるのも特徴です。

蕁麻疹の症状が出るまで

肥満細胞や好塩基球が何らかの原因で活性化し、ヒスタミンやブラジキニンなどが分泌されるこれらの物質の影響で血管が拡張する血液中の成分が血管の外に滲み出る滲み出た成分が皮膚を盛り上げ、皮膚表面を赤くしたりむくみをつくったりする

 

皮膚が赤くなったりふくれたりした際にかゆみを感じるのは、肥満細胞から出たヒスタミンがかゆみの神経を刺激するためです。

蕁麻疹に付随するショック症状

皮膚の蕁麻疹の症状と同時に、胸やのどが苦しくなり、ゼーゼーという音がしたり、咳が出たりすることがあります。これは気道の粘膜にもむくみが生じ、狭くなっているサインです。症状が激しくなると呼吸困難に陥ったり、血圧が低下したりする可能性もあるので、至急対応が必要です。医療機関を受診しましましょう。

蕁麻疹に似た症状

皮膚の病気もその種類に応じて対処が異なりますので、蕁麻疹と間違えやすい以下の二つの症状を知っておきましょう。

湿疹

-症状:皮膚に赤いブツブツが現れる。
 
-進行:赤いブツブツが数日〜1週間出現する。その後水ぶくれができ、皮膚の表面がジュクジュクして最終的にはかさぶたができる。かさぶたになったあとは茶色いシミが残ることもある。

虫刺され

-症状:蕁麻疹の膨疹に似ており、かゆみを伴う。中心部が赤く、硬くなって盛り上がる。症状は数日続くこともある。
 
-進行:虫に刺された直後に症状が出るものと、1〜2日後に症状が出る場合がある。症状が出るタイミングは刺された虫の種類と、刺された人の年齢によって異なる。例えば、蚊に刺された場合、乳幼児は1〜2日経ってから症状が起こる「遅延型反応」のみが出る。幼児期から青年期(15〜24歳)は刺されてからすぐに発症する「即時型反応」と遅延型反応の両方が起こりやすい。また、青年期〜壮年期(25〜44歳)からは即時型反応のみが起こりやすく、高年期(65歳以上)はどちらの反応もあらわれにくくなる。ただし症状の出方は個人差が大きい。
 
どちらも初期症状は蕁麻疹と似ていますが、症状が出てから時間が経過すると違いが分かります。それぞれ原因や対処法が異なるので、適切な対処をしましょう。

蕁麻疹の種類

蕁麻疹の種類

蕁麻疹には原因別にさまざまな種類があります。しかし、蕁麻疹の7割は原因が特定できない「特発性蕁麻疹」に該当します。残りの3割は原因が特定できるものです。いずれにしても、蕁麻疹が繰り返し生じる場合や、蕁麻疹以外の症状を伴う場合は、医師の診察を受けてください。

特発性蕁麻疹

医師の診察によっても、原因が特定できない蕁麻疹。特発性蕁麻疹は、症状の持続期間の点から、急性蕁麻疹と慢性蕁麻疹に分けられます。

急性蕁麻疹

発症してから1カ月以内のもの。

慢性蕁麻疹

繰り返し膨疹ができる状態が1ヶ月以上続く。

特発性蕁麻疹以外の蕁麻疹

原因が特定できる蕁麻疹は、大きく2つに分けられます。食べ物や食品添加物、動植物などのアレルギーの原因物質が体内に入って起こるアレルギー性のものと、摩擦や圧迫、熱さ、寒さなどの外的要因による非アレルギー性のものです。

アレルギー性蕁麻疹

食餌性蕁麻疹

小麦粉、エビ、カニ、魚介類、肉類、卵、乳製品、穀類、野菜、落花生など、原因となる食べ物は多数。

薬剤性蕁麻疹

抗菌薬(ペニシリン系、セフェム系)など特定の薬を飲むことで起こる蕁麻疹。

刺咬性蕁麻疹

蜂の毒やムカデの毒など、虫にかまれたり刺されたりしたことで出る蕁麻疹。体内にアレルギー物質が入って発症する。

非アレルギー性蕁麻疹

機械性蕁麻疹

ベルトや時計のバンド、下着などで皮膚を圧迫したり、皮膚を引っ掻いたりすることが刺激となり起こる蕁麻疹。みみず腫れのようになり、かゆみは比較的少ないといわれている。

寒冷蕁麻疹

お風呂から出たあと急に寒い脱衣所に出た時や、冷たいものを食べた時などに起こりやすい。皮膚が急に冷やされ、肥満細胞が刺激されることによる。

温熱蕁麻疹

身体が冷えている状態で、急に熱いお湯に浸かった時や、寒い屋外などから暖かい室内に入った時などに生じる。寒冷蕁麻疹同様、急な温度変化で肥満細胞が刺激されてヒスタミンが放出し、症状が出る。

日光蕁麻疹

海やプールで露出度が高い時など、日光に当たった部分のみに発症する蕁麻疹。日光に当たってから15分以内に症状が出て、日陰に入ると30分ほどで治まることが多いと言われている。

非ステロイド性抗炎症薬不耐症(ふたいしょう)による蕁麻疹

アスピリンをはじめとする非ステロイド性抗炎症薬を内服後、数十分〜3時間で現れる蕁麻疹。解熱鎮痛剤や感冒薬の服用後に蕁麻疹が生じた経験があれば、病院受診の際や薬を購入する際にこれを伝えることが必要。なお、非ステロイド性抗炎症薬不耐症を持つ人は、人工食品着色料や防腐剤によっても蕁麻疹が生じることがある。

コリン性蕁麻疹

体温が上がり、汗をかく刺激で起こる蕁麻疹。運動、入浴、精神的緊張によって生じやすい。小さな発疹が発生し、かゆみやぴりぴりとした痛みを伴う。

心因性蕁麻疹

精神的ストレスによって自律神経のバランスが不安定になり、刺激に対する反応が過敏になって生じる。ストレスから解放されれば快方に向かう。
 
このように、蕁麻疹の発症要因はさまざまですが、原因が明らかでない場合は、病院で診察を受けましょう。

蕁麻疹の治療法は?

蕁麻疹の治療法は?

蕁麻疹の症状で病院を受診すると、問診、診察、検査を受け、これによって判明した蕁麻疹の種類に合った対処をします。ここでは病院での問診や検査と治療薬についてご紹介します。

病院での問診と検査

病院では、蕁麻疹の原因を特定するために、服薬歴、動物や虫との接触、石鹸等新しい生活用品の使用、疲労の蓄積、症状の経過などを問診し、全身の診察を行うほか、以下のような検査を行います。

血液検査

蕁麻疹がアレルギー性かどうか調べるために血液検査を行うことがあります。また、背後に感染症、膠原病(こうげんびょう/皮膚、内臓、関節などに炎症が生じる様々な疾患の総称)、肝臓病などの身体疾患が隠れていないか調べることもあります。

スクラッチテスト・皮内テスト・プリックテスト

アレルギー性の蕁麻疹かどうかを調べる検査です。アレルギーの原因物質を用いて、皮膚の反応をみます。

蕁麻疹の治療薬

病院で蕁麻疹の検査を受けたあとは、原因に応じて内服薬が処方されます。
 
多様な蕁麻疹に効果があるとされている「抗ヒスタミン薬」は、蕁麻疹発症の原因となるヒスタミンの働きを抑制する薬です。眠気などの副作用や効き方には個人差があるので、1日の服用回数、薬の種類、量を調整しながら治療を進めます。ただし、慢性蕁麻疹の一部には効果が現れにくいことがあります。
 
併せて、腫れやかゆみが強い場合は、充分な強さのステロイド外用剤を使います。かゆみを早めにおさえ、心理的なストレスを軽くし、かき壊しを防ぎます。かき壊してしまった場合には、抗生物質が配合されたステロイド外用剤を用いて、炎症と細菌の増殖を抑えます。

家庭でできる蕁麻疹の対処法

家庭でできる蕁麻疹の対処法

蕁麻疹のかゆみでつらい時、また病院に行くまでのかゆみを抑える時などは、以下のような対処法を試してみましょう。

蕁麻疹によるかゆみが出ているときの対処法

蕁麻疹が出ているとき、かいてしまうのは逆効果。つらいかゆみに耐えるには、以下の方法を試してみてください。

患部を冷やす

多くの蕁麻疹はかゆみを伴いますが、患部をかくと症状を悪化させることがあります。かゆみが出たときは、氷を入れたビニール袋などを当て、患部を冷やしましょう。ただし、寒冷蕁麻疹の場合には冷やす対処法は避けてください。

できるだけ静かにすごす

血行が良くなると、かゆみが悪化しやすくなります。衣類による摩擦や圧迫、振動など、血行を促進するような刺激を与えないよう、安静に過ごしましょう。

蕁麻疹の再発を防ぐ対処法

蕁麻疹は原因の7割が不明なので、具体的な予防策をとることは難しいと言われています。しかし、一度発症したことがある人は、原因として疑われる発症前の行動や状態、物質を避けることで、予防できる可能性があります。

蕁麻疹の原因となる食べ物を避ける

食餌性蕁麻疹が原因で、アレルギーのもととなる食べ物がわかっている場合は、原因となる食べ物を摂らないようにしましょう。
 
しかし、慢性的に蕁麻疹が起こる人の中には、食品との因果関係が明確ではないにかかわらず、自己判断で食品を制限する人がいます。その結果、栄養不足になる場合もあるので、検査によって、はっきりと原因食品がわかっている場合以外は食事制限をしないようにしましょう。

血行が促進されないようにする

アルコールや香辛料の効果で血行が促進されたり、お風呂に入って血流が良くなったりすると、蕁麻疹が出ることがあります。特に、疲労を自覚しているときは、アルコールや刺激物を避け入浴時間を短くし、血行が促進されないよう気を付けましょう。

疲労やストレスを溜めない

ストレスがたまっていると、蕁麻疹が出やすくなったり、症状を悪化させたりすることがあります。身体をしっかり休めストレス解消を心がけましょう。

睡眠の質を改善する

質の良い睡眠は脳の疲労を回復させストレスを軽減させるとともに、自律神経系や免疫系のはたらきを整えますので、蕁麻疹を防ぐことにつながります。
 
下記を参照し、睡眠の質を上げ、ストレスをため込まないよう心がけましょう。

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子どもの蕁麻疹

子どもが蕁麻疹になりやすい理由

子どもは大人よりも肌が敏感で、免疫機能も不完全なため、外部からの刺激に弱くなっています。大人と同様、外部刺激だけではなく、ダニやカビ、周囲の温度変化など、ちょっとした刺激でも蕁麻疹になりやすいと言われています。
 
また、蕁麻疹に限らずいろいろな発疹ができやすく、別の病気の症状を蕁麻疹であると思い込む恐れもありますので、早めに医師の診察を受けましょう。

子どもに起こりやすい蕁麻疹の種類と対処法

原因が不明である特発性蕁麻疹の頻度が高いのは、大人と同様です。一方、原因が分かる蕁麻疹では、食餌性蕁麻疹、コリン性蕁麻疹、寒冷蕁麻疹が多いとい言われています。食事性蕁麻疹の原因となる主な食べ物にとしては、乳児では卵白、牛乳など、幼児では魚介類、ソバ、ピーナッツ、一部のフルーツなどがあげられます。
 
病院を受診する際は、蕁麻疹が起きる前に飲食したものや服用した薬、滞在した場所や行動内容を思い出し、相談してみましょう。
 
そのほか、機械性蕁麻疹が起こりやすい場合は摩擦や圧迫などの刺激が少ないものを身につけ、日光蕁麻疹が起こりやすい場合は直射日光を避けましょう。
 
監修:吉田菜穂子(産業医、内科・心療内科医)
 
<参照>
秀 道弘 他. 蕁麻疹診療ガイドライン. 日本皮膚科学会誌121(7):1339-1388.2011
 
『大人も子どもももう悩まない!じんましん』石黒直子(株式会社メディカルトリビューン)
 
公益社団法人日本皮膚科学会
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa9/
 
シオノギ製薬
http://www.shionogi.co.jp/wellness/diseases/hives.html
 
ロート製薬
http://jp.rohto.com/learn-more/skin-trouble/column/jinmashin-stress/
 
品川シーサイド皮膚・形成外科クリニック
http://shinagawaseasideclinic.com/skin/atoz/sa/jinmashin.html
 
みやけ内科・循環器科 町医者の「家庭の医学」
http://www.miyake-naika.or.jp/03_katei/syoni_jinmashin.html
 
スギ薬局グループ
http://www.sugi-net.jp/oshiete/dr/hives/
 
佐藤製薬 ヘルスケア情報 じんましん
http://www.sato-seiyaku.co.jp/healthcare/cutis6.html
 
田辺三菱製薬 ヒフノコトサイト
http://www.hifunokoto.jp/yakuzaishi/allabout090701/allabout2_1.html
 
タケダ健康サイト
http://takeda-kenko.jp/navi/navi.php?key=jinmashin_zenshin#anc03
 
花王 メリーズ おむつかぶれの基礎知識
http://www.kao.co.jp/merries/babycare/omutsu/01/
 
Maruho
https://www.maruho.co.jp/kanja/atopic/medication/

photo:Getty Images

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