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ノロウイルス、ロタウイスルなど、主にウイルスなどの微生物を原因とする胃腸炎を総称して「ウイルス性胃腸炎(感染性胃腸炎)」と呼ぶ。発症すると、嘔吐(おうと)や下痢などの症状に苦しめられるため、一度でも感染したことがある人はそのつらさを忘れないはずだ。

今回は、ウイルス性胃腸炎の症状と対処法について、消化器外科・外科の小林奈々医師にうかがった。まだ感染したことがないという人も、いざというときのために知っておこう。

――ウイルス性胃腸炎の症状について教えてください。

原因となるウイルスは、手指や食品などを介して経口で感染します。ウイルスに感染すると腸管内で増殖し、嘔吐、下痢、腹痛、発熱などの症状を起こします。

ウイルスにはそれぞれ「潜伏期間」と言って、感染してから症状が出るまでの期間があります。つまり、原因となる食品を食べた直後に発症することはあまりありません。ノロウイルスの場合、潜伏期間は24〜48時間です。発症すると、ひどい症状は1〜2日程度で治まりますが、本調子に戻るまでは1週間弱かかることが一般的です。

――感染を疑ったときは、どのように対処すればいいでしょうか?

ウイルス性胃腸炎を発症したら、基本的にはウイルスが体外へ出て行ってくれるのを待つしかありません。感染を疑ったら、まずは胃腸の安静を確保することをお勧めします。消化のよい物を摂(と)るようにしましょう。また、脱水予防のために水分摂取をしてください。スポーツドリンクや経口補水液がお勧めです。

嘔吐があり水分補給ができない、下痢が頻回で水分補給が追いつかない、症状が数日間も継続している、そして基礎疾患があるといった場合は、医療施設を受診してください。 また、ウイルス感染症は他者への感染を起こす可能性もあるので、感染者を看病する人は十分に注意してください。発熱がある場合は特に注意が必要で、嘔吐物や排せつ物にウイルスが混入している可能性が高いので、取り扱いには十分に気をつけましょう。接触したときには、しっかりと手洗いをしてください。

――病院では、どのような治療を行いますか?

病院ではまず、基本的な症状について問診します。例えば、嘔吐があるのか下痢があるのかなどです。そして、その回数や性状(出血がないかなど)、水分摂取は可能か、既往歴、また思い当たる原因はあるか、周りに同様の症状の人はいないかなども聞いていきます。

ウイルス性胃腸炎には抗ウイルス薬はないので、対症療法がメインです。具体的には、胃薬や整腸剤などを処方します。脱水の症状が強く、かつ経口摂取が困難な場合は、点滴加療を行うこともあります。また、状態にもよりますが、止痢薬はお出ししないことが多いです。下痢を止めることにより、ウイルスが体内にとどまり症状が悪くなる可能性があります。

ウイルス性胃腸炎は予防がとても大切になります。ウイルス性胃腸炎が流行する冬場は、生もの(ノロウイルスで有名なのは牡蠣などの二枚貝)は食べるのを避け、加熱したものを食べるようにしましょう。

○取材協力: 小林奈々(コバヤシ・ナナ)

消化器科、消化器外科、外科医

クリニックでは専門である消化器疾患、痔を含め全般的な内科疾患の診療に従事。週2回の病院勤務では消化器疾患の手術を行いながら、消化器疾患中心の外来診療に携わっております。
このほか予防医学、早期発見早期治療の重要さを伝えるべく講演や新聞、雑誌などへのコラム掲載を行っております。
患者さんを第一に考え、患者さんの目線にたちながら、常に笑顔で、女性外科医だから行える気くばりと柔らかさのある診療を行うべく日夜励んでおります。
En女医会所属。さくら総合病院、自由が丘メディカルプラザ勤務。

En女医会とは
150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加している会。さまざまな形でボランティア活動を行うことによって、女性の意識の向上と社会貢献の実現を目指している。会員が持つ医療知識や経験を活かして商品開発を行い、利益の一部を社会貢献に使用。また、健康や美容についてより良い情報を発信し、医療分野での啓発活動を積極的に行う。En女医会HPはこちら。

(須藤妙子)