凝集塊形成後の顕微鏡写真

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カネカ(角倉護社長)は2017年3月13日、東京大学生産技術研究所の酒井康行教授(臓器・生体システム工学)と共同で、ヒトiPS細胞(人工多能性幹細胞)を浮遊培養で大量に培養する新技術を開発したと発表した。

iPS細胞を用いた再生医療の実現に向け大きな前進となる成果という。

再生医療の実現に向け大きな前進

用いられた浮遊培養は、液体の培地中で細胞を浮遊させながら培養する方法。従来の平面培養ではなく浮遊培養でヒトiPS細胞を増やすことで、コストをおよそ3分の1に、作業時間をおよそ10分の1に削減できる。大量に細胞を培養するのに適している。

だが、ヒトiPS細胞は、単細胞状態では浮遊培養で増殖できないため、細胞同士を集めて適度な大きさの凝集塊を作製するステップが必要。また培養中にかき混ぜる速度が速いと細胞が死んでしまい、遅すぎると塊が大きくなり過ぎて細胞が増殖できないという課題があった。

これを克服できたのは、世界で初めてiPS細胞を適度な大きさの凝集塊に抑制する脂質類を発見しできたため。リン脂質の一種である、リゾホスファチジン酸およびスフィンゴシン‐1-リン酸で、これらを微量添加した培地に単細胞状態のヒトiPS細胞を混ぜ、穏やかに揺らしながら培養するだけで適度な大きさの凝集塊となり、三角フラスコなど市販の培養容器で10億個以上のヒトiPS細胞を培養することに成功した。

研究成果の詳細は、詳細は3月7日から3日間、仙台で開催された「第16回 日本再生医療学会総会」で発表された。