ツアー初Vに惜しくも届かなかった藤崎莉歩、今後の活躍に期待が高まる(撮影:佐々木啓)

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全美貞(韓国)の優勝で幕を閉じた「ヨコハマタイヤ PRGRレディス」。藤崎莉歩が初勝利を目指しプレーオフまで持ち込んだが、賞金女王戴冠経験のあるベテランは7mをねじ込み新鋭の悲願を断ち切った。そんな土佐決戦を上田桃子らを指導するプロコーチの辻村明志氏が振り返る。
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■韓国きっての精密機械はマイナーチェンジでさらに精度UP
今年も太平洋からの強い海風が吹き荒れた今大会。2日目には初日との真逆の風速7.8m/sの風が吹き荒れるなど多くの選手が苦しんだ。そんな中、全は54ホール中44ホールでパーオン。ショット力の高さを見せた。
「彼女は韓国人きっての精密機械。体を筒の中で円運動しているかのように捻転し、体の両サイドでしっかりシャフトが立っている再現性の高いスイングが魅力です。だから球のコントロールが上手く、ショット関連のスタッツが非常に高い。グリーンが固いトリッキーなコースでもしっかりとチャンスにつけていました」。
そんなショットメーカーはさらに2017年進化してシーズンに入ってきた。それが左に振り抜くことだ。全曰く「右に飛び出すことが多かったのでオフはその部分を修正しました。今は左90度に打ちだしているような感じで振っています」。このマイナーチェンジを辻村氏はこう解説する。
「勝てなかったときに特に顕著だったのですが、彼女は左に引っかけたくないとインサイドアウトで右に打ちだしているときがありました。結果スイングが泳いで、体が止まり余計に左に出ていました。アマチュアの人は左に振るとスライスすると勘違いしがちですが、しっかりとインサイドインで振り抜けば球は右に出ません。勘違いして欲しくないのはここで指している“左に振る”と言うことはクラブのヘッドを左に振る、ということです。左ヒジやグリップエンドを左に引けばカット気味のスイングとなり、球が右に出てしまいますから気を付けてください」。
とはいえ、そんな全でも正規の18番で大きく左に曲げて木に助けられた。「精密機械ですらあの緊迫した場面でフックがでる。ゴルフが如何にメンタルのスポーツかが分かる一幕でしたね。でもその後、プレーオフで7mを決めるあたりは流石の勝負強さだと思いました」。
■藤崎莉歩のプロ合格までの練習は“平均台の上”で素振り!
その全をあと一歩まで追い詰めたのが藤崎莉歩。安定したショットでスコアを崩さず狙いすましたように3連続バーディで首位に追いついた。今でこそ風に負けない球を打つ藤崎だが、高校を卒業してからプロテストに受かるまでの期間、辻村氏が直接指導した時に感じたのが「球が軽い」ということだった。
「彼女の球が何故軽かったかと言えばインパクトに向かって体が浮き上がっていたためです。そして何で浮き上がるかと言えばクラブのリリースが早く、右ひじが大きく空きヘッドが落ちていたので自分が浮き上がるしかないスイングとなっていました」。その時に行った「球の軽さ」を改善するドリルを明かしてくれた。
「平均台の上で地面の中をスイングさせるイメージで素振りをしてもらいました。平均台の上では体重移動を間違えたら良いスイングはできません。ゴルフのスイングは回転運動とはいえあくまで右足と左足をつないだラインの上で行うものであり、そのラインが開いてしまっては元も子もありません。ですので体重移動とクラブをリリースするタイミングを意識ではなく、体で覚えてもらうために、あえてバランスの悪いところで取り組んでもらいました。もちろん7年も前ですから、その後の彼女の努力によるものが大きいですが、今では低重心でボールに体重が乗ったショットが打てています。あれだけの緊張感の中でも曲がらないですし、しっかりとピンに届くクラブで打っていました。消極的な姿勢は一切見えなかった。結果は残念でしたが、素晴らしいプレーだったと思います」。
他にもキャディの小岸秀行氏がアドバイスした練習への取り組み方が今大会の成績に大いに奏功したが、成功の裏には彼女の性格も大きく関係していた。
「小岸さんの選手に伝えるタイミング、伝え方が素晴らしいのは当然ですが、アドバイスを受け入られる彼女の性格も今回の結果につながったと思います。藤崎さんと出会ってからこれまで愚痴や文句を1つも聞いたことありません。まっすぐで素直な性格がこれからさらに伸びていく要素の1つだと思います。彼女はパターも上手いですから、今回の試合を自信に変えてもっともっと頑張ってほしいですね」。
■最大の好機を逃した青木瀬令奈もチャンスはすぐに来る
プレーオフに進出した2人とは対照的に、トップから出た青木瀬令奈は最終日に失速。2バーディ・3ボギーと精彩を欠き5位タイに沈んだ。またしても初優勝を逃す形となったが、チャンスはまたすぐにやってくると辻村氏。
「彼女はプレー、スイングのテンポがとても良い。そして途中で手を離したりせず、最後まで必ず振り切る。だからショットが中々曲がらないですよね。加えてパッティングも長い距離でもほとんどカップに届いてくる気の強さがある。だから大型プレーヤーではないのにビッグスコアを出すことができるんです。チャンスはまたすぐに来ると思いますよ」。
解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。コーチ転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、濱美咲らを指導。上田の出場試合に帯同、様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。
<ゴルフ情報ALBA.Net>

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