期待が少なければ、落胆も少なく済むだろうか。

 大相撲春場所(エディオンアリーナ大阪)が、3月12日から始まる。注目は、なんと言っても19年ぶりに誕生した日本出身の横綱、稀勢の里(30)だ。
 2月末に大阪入りした後も人気はうなぎのぼり。27日に開かれた番付発表の記者会見には80人を超す報道陣が押しかけ、会場は溢れんばかりの熱気。しかし、横綱デビューとなる春場所の目標を聞かれ「(初優勝した先場所と)同じ雰囲気になれるようにしっかりやっていきたい」と応える稀勢の里の表情は、非常に厳しいものがあった。
 さらに、15日制になってから初めて新横綱で全勝優勝した先代師匠(元横綱隆の里)と比較されると、「稽古場で(掲げられた優勝額を)いつも見ていましたし、映像でもたくさん見ていますから」と、あとを追いかける決意をにじませた。

 果たして、師弟2代の新横綱優勝となるのか。初日からファンの熱い視線を浴びることは間違いないが、その道のりは決して平坦ではない。
 「先場所の稀勢の里は、あまりにも幸運に恵まれていました。日馬富士、鶴竜の2横綱が相次いで途中休場し、一番疲れが出る13日目には、対戦相手の豪栄道まで休場して不戦勝でしたからね。おそらく、あんな展開はもう二度とないでしょう。新横綱のプレッシャーもあるでしょうし、先場所以上に厳しい闘いになるのは想像に難くない」(中堅親方)

 稽古内容も決して万全ではない。稀勢の里は、昇進祝賀会や激励会などの雑用に追いまわされて、思うような稽古ができずに低迷した先輩横綱の二の舞を避けるため、この種のお付き合いは極力セーブしてきた。
 優勝パレードも2月18日に故郷の茨城県牛久市で行われた1回だけ。夜のお付き合いも午後10時には切り上げて、休息に務めていた。

 しかし、大阪入り直後の稽古では、弟弟子の高安に6勝11敗と負け越すなど、散々だった。
 「3月2日から行われた二所ノ関一門の連合稽古でもいま一つ。明らかに腰高で動きは鈍く、玉鷲に3連敗する場面もあった。周りの力士たちの対策も予想以上に進んでいる。今まで以上に気合いを入れないと、優勝戦線から早々に脱落する可能性は高い」(担当記者)

 ちなみに、白鵬は新横綱で11勝4敗。日馬富士、鶴竜は9勝6敗だった。稀勢の里に全勝優勝を望むのは酷かもしれない。