12日にカズさんこと三浦知良選手がゴールを挙げ、Jリーグ最年長得点記録を50歳に伸ばしました。この偉業達成に驚いた人も多かったかもしれません。

ですが、このゴールは必然です。

僕はカズさんがグアムで行っている春期自主トレーニングにこれまで8回同行しています。そこで8年以上、カズさんが自分を追い込む姿を見てきました。

キャンプは毎年同じことをやっているのではありません。トレーニングの方法は毎年工夫されています。水泳を取り入れたり、ランニングフォームを調整したり、自分の身体ととことん向かい合って鍛え抜いていました。

2年前からはシーズンが終わった後もキャンプを行い、年2回、汗を絞りきっています。そんな生活を送っているからでしょう。僕はキャンプ中にカズさんの肉体の衰えをまるで見ることができませんでした。

さらにモチベーションも全然失われていません。50歳にしてなお、「少しでもサッカーが上手くなりたい」「1試合でも多くプレーしたい」と願っているのです。その万全な準備をするために、カズさんはすべてを捧げていました。

それだけの努力をしてコンディションを維持し、そこに経験値が加わっているのですから、当然ボールがカズさんのほうにやって来ます。こぼれ球に、誰よりも早く詰められるというのも偶然ではないのです。

また、実はシュートにも難しい技術が詰まっていました。たぶん、若い選手ならGKに当ててしまうことでしょう。コースをブロックしにきた相手選手にぶつけることも考えられます。そこを「細いコースが見えたから、左足を当てた」というキックで抜くのは、もしかしたらカズさんしかできなかったかもしれません。

本人は50歳という節目の年の自分が、これまで以上に注目を集めることを知っていると思います。そしてその期待に応えるだけのことをやっています。

だからこそ、ゴールは生まれたのです。