世耕弘成大臣「多様な働き方を包括する社会づくりが急務」

写真拡大

世界経済の先行きが不透明な中、日本は変革に迫られている。注目すべきは、第三次安倍再改造内閣が進める改革の中で最大のチャレンジとされる「働き方改革」だ。

2月15日、都内で開催された「at Will Work 働き方を考えるカンファレンス2017」に経済産業大臣の世耕弘成氏が登壇。「日本人の働き方を変えるのは急務だ」と語った(以下、大臣談)。

労働のあり方を見直す

日本の問題点のひとつに生産性の低さがあります。今進めている「働き方改革」はこの問題意識からスタートしました。日本は働き方を変えて、生産性を上げない限り、成長を続けていくことはできないと考えているからです。

心身を害するような不当な長時間労働への規制。さらには雇用形態を正規、非正規に分けたことから起こる不平等性への救済措置。これらを是正に向け、考えなければなりません。非正規の労働条件底上げのために、同一労働同一賃金の提案、ジョブディスクリプションの明確化なども議論していく必要があるでしょう。

高度プロフェッショナル人材枠を広げるように、仕事への意志が明確な人に様々な制限をかけるべきではありません。例えば、子育ての合間時間を有効利用してテレワークで働く。2か月休みなしで働いた後に1か月まるまる休むなど。裁量労働制は各企業でも導入されていますが、これからはより柔軟に、自身で時間を調整して働くように変えていくべきではないでしょうか。実際に、経産省でも答弁作成などでテレワークを活用し、労働時間の効率化を図っています。

人材が良い方向に流れる社会形成を

企業は、話題の副業解禁を増やしていくべきでしょう。もちろん、健康管理は前提条件です。しかし副業は、視野の拡大や、新しい価値観の入手、新たなビジネスへの可能性にもつながります。その結果、これまで日本企業全体の課題でもあった「人材の低流動性」を解決する手立てにもなりえるのです。

人材の流動性を生み出すために、条件付きで解雇規制の緩和に乗り出すことを、国会では議論中です。これを首切り法と揶揄するのは間違いでしょう。収縮する業界で、精神論で不況を乗り越えようとするよりは、従業員が次に進むための支度金と共に送り出すほうがお互いのためでしょう。規制緩和に踏み出すことで、人材が良い方向に流れる社会形成につながると考えています。

ただ、注意しておきたいのは、日本の古き良き家族主義的な会社が悪いと言っているのではありません。アメリカでもGEなど、社内研修や人材選抜制度などが充実した結果、終身雇用となる企業もあります。常に新しい人材を入れていくか、忠誠心の高い社員を抱えて育てていくかは経営者のそれぞれの判断ですし、両方あってこその社会なのです。

教育体制でのフォローが必須に

人材不足も日本の問題点のひとつに挙げられます。この問題を解決するために、日本型の新卒一括採用を変革し、最先端の人材育成を実施することが急務です。そんな中で有益であるのが、日本の教育体制の改革といえます。

厚生労働省、文部科学省とも議論をしていますが、大学のカリキュラムの根本的な変革が必須です。元大学経営者として語るならば、企業の求める人材に育てるための最先端なカリキュラムを、大学側が取り入れられていないことも目下の問題です。

もはや、これまでの終身雇用に安寧する時代ではありません。学生が短期間の就職活動で、自分の働きたい仕事や、人生を通してやり遂げたいことに出逢うことは稀でしょう。就職後に学び直す、リカレント教育を有効活用すること。そして新しい分野に挑戦できるような、柔軟な社会の姿勢が求められています。

ただ、裁量労働制が働き方のデフォルトとなったとき、能力の差に伴い、格差が生まれる恐れがあります。今まさに、アメリカやヨーロッパでも問題になっていることです。