家事や育児を楽しみながら取り組む男性を指す「イクメン」という言葉。2010年の流行語のトップテンにも選ばれ、世間に定着しつつある。一方で、家事や育児と仕事の両立がうまくいかず、産後うつに陥る男性もいるようだ。

産後うつというと、女性がなるイメージが強い。しかし、2012年から2013年に国立成育医療研究センターの研究チームが行った調査では、男性も女性と同じようにメンタルヘルスに不調をきたす傾向が見られたのだとか。父親の産後うつの研究をしている同センターの竹原健二さんに話を聞いた。

●産後3カ月間で約16.7%の男性にうつ傾向!?

「厚生労働省が勧めている『EPDS(エジンバラ産後うつ病質問票)』というスクリーニングテストがあります。本来は、産後1年未満の女性を対象に使われていたものの、近年、海外では男性を対象に使われるようにもなってきています。そこで、男性215人を対象に妻の妊娠から産後3カ月までの6回にわたってEPDSを実施しました。その結果、妻の産後から3カ月の間にうつ傾向が見られた人は36人。全体の約16.7%に達したんです」(竹原さん 以下同)

「EPDS(エジンバラ産後うつ病質問票)」は、「幸せだと感じた」「はっきりとした理由もないのに不安になったり、心配した」などの10項目に対して、4つの選択肢から1つを選び回答する。母親の産後うつの早期発見を目的として、自治体や医療機関で広く用いられている。

●「パパだってしんどい」を知ってほしい

竹原さんが研究を始めたきっかけは、自身の育児体験。「母親の方が大変だし、それを自分でもわかってはいるんですけどね」と前置きした上で、次のように語ってくれた。

「産後は特に母親のケアが必要な時期ですから、父親はできる限りサポートする必要があります。でも、夜遅い時間まで仕事をして、帰宅後に家事や育児が待っていると、父親も負担が大きいと感じてしまう…。母親も疲れているのをわかっているからこそ、そういった状況では『家事や育児がしんどい』と言いづらい雰囲気があります」

行政や産院など、母親のメンタルケアは広まっているものの、父親に関してはほとんどない。「妻の産前・産後にメンタルヘルスに不調をきたす男性がいる」ことが世間で認知されるようになってほしい。これが、竹原さんの研究の目的だそう。

共働き夫婦が増えているなか、男性の家事・育児参加が当たり前になりつつある。男性の働き方も変えていかなくては、さらに負担は増えそうだ。

(畑菜穂子+ノオト)