所属クラブでレギュラーに定着できない(左から)香川、本田、長友。それぞれに事情は異なるが、日本代表にとっては大きな不安材料に……。(C)Getty Images

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「所属クラブで厳しい状況に置かれている選手たちには、先発を取れるように努力をしなさい、それが難しいならレギュラーになれるクラブに移籍しなさい、と何度も伝えている」
 
 日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、昨秋あたりから何度もそんなニュアンスの発言を繰り返している。そして、海外組全員と会ってきたというヨーロッパ視察を終えて再来日した3月2日にも、彼らの現状に大きな危機感を募らせていた。
 
 UEA戦(3月23日)とタイ戦(3月28日)の招集メンバーは3月16日に発表予定だが、その前に欧州組の現状を整理したい。
 
 2015年に発足したハリル・ジャパンは、ここ10年以上の歴代チームと同じく、招集メンバーの6割、レギュラーの7割がいわゆる欧州組だ。しかし、頼みの綱であるその中心選手たちの多くが、今シーズンはヨーロッパの所属クラブで軒並みレギュラー落ち。言うまでもなく、日常的に公式戦を戦っていなければ、コンディションと試合勘を保つのは難しい。日々のトレーニングだけでは限界がある。これがハリルホジッチ監督にとって、最大の悩みと言っていいだろう。
 
 前回の代表活動(昨年11月)の段階で、所属クラブで絶対的な地位を築いていたのは、フランクフルトでリベロの新境地を開いた長谷部誠、ヘルタ・ベルリンで左ウイングに定着した原口元気、昨夏に加入したマルセイユでさっそく信頼を掴んだ酒井宏樹、ケルンで2トップの一角を得た大迫勇也、ハンブルクで両SBに加えてボランチもこなしている酒井高徳という5人だけだった。
 
 だからこそ、指揮官は1月にヨーロッパの移籍市場が開く前の昨秋から、選手たちに移籍を勧める発言をしていたのだろう。しかし、実際に出場機会を理由に新天地を求めたのは清武弘嗣のみ。3月の再来日時にハリルホジッチ監督は、「本当のことを言えば、清武には欧州に残留してほしかった。ただ、試合に出場できるというのは大きい」とほぼ構想外の状態だったセビージャから、古巣セレッソ大阪に電撃復帰した清武の決断を支持した。
 その冬の移籍市場が終わり、シーズン後半戦に臨んでいる欧州組の所属クラブにおける現状は以下の通り(ハリル・ジャパン招集歴のある選手のみ)。
 
主力:長谷部誠(フランクフルト)、大迫勇也(ケルン)、酒井宏樹(マルセイユ)、酒井高徳(ハンブルク)、久保裕也(ヘント)、小林祐希(ヘーレンフェーン)
 
レギュラークラス:原口元気(ヘルタ・ベルリン)、吉田麻也(サウサンプトン)、岡崎慎司(レスター)、浅野琢磨(シュツットガルト)、武藤嘉紀(マインツ)、乾貴士(エイバル)、南野拓実(ザルツブルク)、ハーフナー・マイク(ADO)
 
バックアッパー:香川真司(ドルトムント)、長友佑都(インテル)、宇佐美貴史(アウクスブルク)、柴崎岳(テネリフェ)
 
ほぼ構想外:本田圭佑(ミラン)、川島永嗣(メス)、内田篤人(シャルケ)
 
 前回招集時からの大きな変化は、まずプレミアリーグで戦う2人の序列が上がっていること。岡崎は監督交代、吉田はライバルの怪我と退団によってチャンスが増え、レギュラーに定着しつつある。
 
 また、1月にスイスのヤングボーイズからベルギーのヘントに移籍した久保は、さっそく7試合・5得点と爆発中。波に乗っている。同じく今冬に鹿島アントラーズからスペイン2部のテネリフェに新天地を求めた柴崎は逆に、心身のコンディション不良で出遅れ、3月12日の試合でようやく初めてベンチ入りした段階。この3月に一昨年10月以来の代表復帰を果たす可能性は低い。
 
 そして最大の焦点は、香川、長友、そして本田の現状だ。