by University of Michigan School of Natural Resources & Environment

遺伝子検査の存在が身近になり、現在では2万9800円で150種類の病気の発症リスクと130種類の体質を調べるキットなども登場しています。そんな中、会社が授業員に遺伝子検査を受けさせ、検査結果の提出を求めることを可能にする法案がアメリカの下院委員会で認められたと報じられました。

House GOP would let employers demand workers' genetic test results

https://www.statnews.com/2017/03/10/workplace-wellness-genetic-testing/



H.R.1313 - 115th Congress (2017-2018): Preserving Employee Wellness Programs Act | Congress.gov | Library of Congress

https://www.congress.gov/bill/115th-congress/house-bill/1313

Employers could demand genetic testing under congressional bill

http://www.cnbc.com/2017/03/10/employers-could-demand-genetic-testing-under-congressional-bill.html

New bill would let companies force workers to get genetic tests, share results | Ars Technica

https://arstechnica.com/science/2017/03/companies-want-employees-genetic-info-new-bill-lets-them-take-it-by-force/

H.R.1313 - Preserving Employee Wellness Programs Act」は2017年3月8日に下院委員会で認められました。共和党による賛成が22票、民主党による反対が17票だったとのこと。ゼロン精神保健法センターのJennifer Mathis氏は「この法案は、現存する法律の保護を完全に取り去ってしまうものです」とニュースメディアのSTATに語っています。

アメリカでは2008年に遺伝子情報差別禁止法(GINA)が連邦レベルで成立し、遺伝子情報に基づく健康保険上の差別や雇用者による差別が禁止されました。GINAでは、雇用主などが本人・家族に対して遺伝子検査を要望することを原則として禁じていますが、新法案は、GINAを全くの無意味にするという指摘が上がっているわけです。

GINAの規定が「(PDFファイル)原則」となっているのは、従業員が自発的に申し出たり、ウエルネス制度での遺伝子検査を求めたケースを除いているため。ウエルネス制度は本来、従業員の健康を促すために医療検査を行ったり、従業員の禁煙を促進したりする目的ですが、新法案では、ウエルネス制度を提供している雇用主が、その一貫として、従業員に遺伝子検査を求めることが可能になります。そして、遺伝子検査を断った従業員の保険料は、検査を受けた従業員の保険料よりも高くなる仕組みで、実質的に罰金のようなものとなっています。

なお、ウエルネス制度に加入するかどうかは従業員の自由ですが、オバマケアの制度上、雇用主はウエルネス制度を利用しない従業員に対して、ウエルネス制度に加入している従業員の保険料の30〜50%増の健康保険料を設定することが可能とのこと。つまり、新法案が施行されると、任意ではあるものの、保険料を安くするためにはウエルネス制度に加入する必要があり、ウエルネス制度に加入すれば遺伝子検査を求められる、という仕組みとなる可能性があるわけです。



下院教育労働力委員会の議長であるバージニア・フォックス氏は新法案を支持。委員会の広報担当は「法案に反対する人は、保険料を安くし人々の健康的なライフスタイルの選択を推進する任意のプログラムに従業員が参加することを否定し、間違った情報を広めています」「この選択によって、家族は力を得るべきだと私たちは信じていますし、オバマ政権もそうでした」とコメントしています。

一方で、広報担当によると、現法下での「従業員に遺伝子検査の結果の提出を求めるためにはウエルネス制度に参加させる必要がある」という法解釈について、アメリカ人類遺伝学会などが議論しているとのこと。GINAとオバマケアではウエルネス制度に関する規定が調和していない部分があり、雇用者側からは規定を変更する必要があるという声も上がっているとのことです。