日本女子フィギュア界の期待の星・本田真凜が、シーズンを締めくくる世界ジュニアフィギュアスケート選手権で連覇に挑む。

 周囲からのプレッシャーや体調不良などに苦しんだ今シーズン。フジテレビ・三田友梨佳アナウンサーが現場で見た、苦境のなかでの彼女の「成長」とは。

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 3月15日から台湾で開催される、世界ジュニアフィギュアスケート選手権。次世代を担う選手が顔を揃える中で、大会連覇を狙う本田真凜選手(15歳)に注目が集まっています。


世界ジュニアで連覇を目指す本田 photo by Noto Sunao 世界ジュニアの女王として、さらなる飛躍を期して臨んだ今シーズンは、思わぬ苦戦が続いていました。昨年8月に行なわれた、シーズン初戦のアジアフィギュア杯(フィリピン・マニラ)のジュニアクラスこそ制しましたが、それ以降はあと一歩のところで優勝を逃してしまいます。

 優勝候補筆頭と目されていた、昨年11月の全日本ジュニア選手権も3位。続くジュニアグランプリ(GP)ファイナル(フランス・マルセイユ)は、インフルエンザのために棄権することになりました。

 しかし、12月末の全日本選手権では、シニアの選手に交じって4位と大健闘。その全日本のショートプログラム(SP)後に流した涙は、彼女にかかる期待とプレッシャーが大きくなっていることの象徴だったように思います。それまで、本田選手の悔し涙は何度も見てきましたが、その時は、棄権直後の大会でミスなく演技ができた安堵の表情がすごく印象的でした。

 年が明けてからは、今年2月の全国中学スケート大会で優勝を果たすなど、コンディションを立て直してきている本田選手。この大会の優勝後のインタビューでは「全中は狙いにいってとれた」とコメントしていました。

 勝ちを意識した上で勝つことは、どんな一流アスリートにとっても難しいこと。実際、3位に終わった全日本ジュニアでは「勝ちにこだわりすぎてダメだった」と振り返っています。3ヵ月足らずでそれを乗り越えてつかんだ勝利は、大きな自信になったのではないでしょうか。

 本田選手の精神面の成長には、同じ濱田美栄コーチのもとで指導を受ける宮原知子選手の存在も影響しているのだと思います。宮原選手は「練習の鬼」と称されるほどの練習量。コツコツと積み重ねていくことが苦手と言われてきた本田選手は宮原選手から刺激をもらっていると思いますし、すばらしいお手本にもなっているはずです。

 濱田コーチも「最後までリカバリーし続けて、あきらめずに突き進む姿勢は、宮原選手から学んでいる部分もあると思う」と話していましたが、シニア大会で活躍する先輩がそばにいることは、本田選手の成長にとって最適の環境なのではないでしょうか。

 また、濱田コーチがかけるさりげない言葉も、本田選手の支えになっていると思います。

昨年優勝した世界ジュニア選手権で、濱田コーチはフリーの演技前に「ひとりでもファンを増やすような気持ちで行ってらっしゃい」と本田選手に伝えたそうです。それは、本田選手の性格や、そのときの状態を理解したうえでかけたひと言で、おそらく、宮原選手に対しては言わない言葉なのではないかと思います。選手それぞれの性格を十分理解して接する濱田コーチの言葉は、リンクに向かう選手のモチベーションを高め、最大限の実力を発揮させる原動力になっているんだと実感したシーンでした。

 濱田コーチは、演技中も選手のジャンプが決まるごとにリンクサイドで喜び、キス・アンド・クライでは、選手の喜びや悲しみを全身で共有します。昨年12月の全日本の演技後、本田選手が涙を流した際も、濱田コーチは一緒になって泣いていました。本田選手自身はそのことを「すごく嬉しかった」と語っていましたし、そうしたところにも、選手とコーチの信頼関係が表れていますよね。

 最近の本田選手は、今まで以上に「美」への意識が高まっていると話していました。メイクや髪型を自分でプロデュースすることも多く、リンクから離れたところでは、ファッションやネイルを先輩スケーターの皆さんに教えてもらっているそうです。これまでの「可愛らしさ、可憐さ」に加えて、試合の度にその「美しさ」に磨きがかかっている印象が強くあります。


photo by Murakami Shogo 本田選手の「美」へのこだわりは、筋肉のつけ方にも及びます。アスリートといえば、強く大きな筋肉をつけることをイメージしますが、彼女は全身のシルエットを大切にして、競技に必要な分だけ筋肉をつけようと考えているようです。その芸術性への意識は、これからますます向上していくのではないでしょうか。

 演技だけでなく、人間的にも日々成長を続ける本田選手が狙う世界ジュニアの連覇。そこには乗り越えなければいけないライバルたちがいます。その選手は、ロシアのアリーナ・ザギトワ選手です。昨年のジュニアGPファイナルで、疲れが出るフリーの後半に7つのジャンプをすべて成功させるなど、今シーズンは国内外のジュニア大会を4度制する活躍を見せています。

 ザギトワ選手は今年5月で15歳になり、来年の平昌五輪出場資格(前年の6月30日時点で15歳に達していること)を満たしています。シニア大会参戦を前にした世界ジュニアで、彼女がどんな演技をするのか、また、「4回転にもチャレンジしている」という本田選手のさらなる進化にも期待が高まります。

今大会は、2022年の北京五輪に向けた闘いの幕開けになると感じています。未来の女子フィギュアスケート界の「女王争い」を占う重要な大会に、みなさんもぜひ注目してください。

■世界Jr.フィギュアスケート選手権2017 女子フリー
3月18日(土) 夜7時〜8時54分(最大延長20分) フジテレビ系列で生放送
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【プロフィール】
三田友梨佳(みた・ゆりか)
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東京都出身。フジテレビアナウンサー。2011年入社。『直撃LIVEグッディ!』(毎週月〜金曜13時55分〜)ほか、バラエティーやスポーツ各種中継などを担当する。

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