弁護士と小規模企業をマッチング、サービス開発者の思いとは

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かつてコンサルティング会社を運営していた弁護士のケン・ミンターンは、事業主と弁護士(法律家)の関係が崩壊していると考えている。

全ての原因は、両者とも自分が情熱を持てないことに多くの時間を費やしているからだ。「起業家は、自分の情熱を追求するために企業を運営している。法務にばかり携わっていたくはない。一方、弁護士は法律に情熱を抱き、人々を手助けしたいと考えている。管理実務には情熱を抱いていない」とミンターンは言う。

ミンターンは、両者が自分の情熱の対象にエネルギーを傾けることができるように、法的サービスを必要としている事業主たちが弁護士を見つけるのを手助けするソリューションをつくりたいと考えた。そこで考案したのが、オンラインサービスの「ケンジ(KENJI)」だ。小規模企業のオーナーが法律関連のプロジェクト情報を掲載し、弁護士たちがそれに応募することのできる仕組みとなっている。

小規模企業と弁護士をつなぐ

ケンジのターゲット市場は、広い人脈や強力なサポートコミュニティーを持たない小規模企業。ミンターンによれば、こうした企業を対象とした司法サービス市場は600億ドル(約6.8兆円)規模にのぼる。

企業側がプロジェクト情報をオンラインに掲載し、弁護士たちが応募(提案内容と前払いの固定料金を提示)したら、企業側はその中から好みの弁護士を選び、料金を支払う。支払われた料金はケンジが預かり、プロジェクトが完了した時点で弁護士側に渡される。

ウェブ&モバイルアプリの開発サービスを提供するイレブン・フィフティー・コンサルティング(Eleven Fifty Consulting)での経験があるオーリ・レヒムザデがアプリの設計を監督し、ケンジの技術顧問を務めた。また開発チームは2016年秋、製品コンサルティング会社イノベートマップ(Innovatemap)と共同でユーザー体験についての再考を行った。ミンターンは、アプリが対象市場のニーズを満たすかどうか、また今後市場に拡大の可能性があるかを精査した。

テクノロジー導入が鈍い法律業界

ケンジはシードラウンドで資金調達を行い、100万ドル(約1億1390万円)を確保。2017年の成長に向け、フルタイムの従業員12人を雇い、オンライン市場の改革に取り組んでいく考えだ。

だが一度限りの取引の上に成り立つ事業は、順調な拡大が見込めるとは限らない。ミンターンは今後、弁護士と企業オーナーそれぞれが、アプリ上自分たちの仕事や情報を管理できるようにする機能を追加する可能性もあるとしている。

「現在のサービスをベースにより価値を高めていくために、試行錯誤しながら取り組んでいる。弁護士と企業側の双方が月極利用料を支払う形で、SaaSタイプの価格設定を追加してもいいかもしれない」とミンターンは言う。

法律業界は新たなテクノロジーをなかなか導入しないと言われがちだが、ミンターンによれば、弁護士にケンジのようなテクノロジーを使うことを期待する顧客が増えてきていると言う。特にミレニアル世代の弁護士が増えつつあることを考えると、ケンジにとっては有利な傾向かもしれない。

ケンジは、企業オーナーと弁護士が互いに必要な相手を見つけるのを手助けすることで、両者がこれまでよりも迅速に、情熱を持つ仕事に戻れるようにすることを目指して設計されたものだ。今後、このプラットフォームが成長を続け、時間の節約につながるツールを追加し続ければ、その目標の実現に大いに役立つ可能性がある。