「Futurism」の記事より。

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 今こうしている現在も着々と進化を遂げている人工知能(AI)だが、昨今の急激な進化に警鐘を鳴らしているうちの一人がビル・ゲイツ氏だ。具体的にAIの何が危険なのか、なんと先日ゲイツ氏みずから「Reddit」にてAIの脅威を書き込んでいる。

■「東ロボくん」が東大受験をあきらめた理由は?

 東京大学の合格を目指して入試問題の学習を積み重ねてきた人工知能「東ロボくん」が昨年末、受験をあきらめたというニュースが報じられて話題を呼んだ。昨年はAIが囲碁チャンピオンを撃破した画期的な年であっただけに、東大受験(ごとき!?)をあきらめたことを意外に感じた向きも多かったのではないだろうか。

 東ロボくんが受験をあきらることになった最大の理由は、国語や英語の「長文読解問題」への対策に根本的な欠陥がある点だ。現状の人工知能の技術では、読解力を問われる問題において正解に近づく方法を確立することができないのである。

 英語の空欄穴埋めのような問題であれば、過去問題の膨大な学習記録から確率的に“正しそうな答え”を選ぶことができるAIだが、蓄積した知識がそのまま活用できない読解問題では、今のところお手上げ状態。この致命的な能力不足が昨今ますますクリアになってきたことで、「東ロボくん」の東大受験はいったん中断されることになったようである。

 では今後もAIは読解力問題にまったく手も足も出ないのだろうか?

「Reddit」の書き込みによれば、まさにビル・ゲイツ氏の最大の関心はその点にあるようだ。

「今現在、コンピュータは本を読むことができず、知識の表現の仕方もわからないため受験に合格することはできません。(しかし)ある日コンピュータが人間と同じように文章を読んで理解できるようになった時、とてつもない事態を迎えることになります」(ビル・ゲイツ氏)

 現在も各方面で着々と人工知能の研究開発が積み重ねられているが、AIが文章を読んで理解した時こそがゲイツ氏が恐れる“シンギュラリティ(技術的特異点)”の到来ということだ。そして“その日”は、今の世代が生きている間にやってくることも示唆している。“その日”以降の人類社会がどのように変化を遂げるのか興味深いものの、確かに脅威も禁じ得ないだろう。

■ゲイツ氏「働くロボットから税金を徴収すべき」

 今現在も人工知能は着実に社会を変えている。直近で話題になっているのは人々の雇用の問題だ。

 AIが仕事を奪うという声が聞かれはじめて久しくなるが、人工知能とロボットの進化によって現在は人間が行なっている仕事の一部は徐々に機械に肩代わりされていくことが確実視されている。これは単に失業の問題だけではなく、国家にとっては税収の低下を招く深刻な問題にもなる。

 そこでビル・ゲイツ氏は、仕事を奪うロボットからは税金を徴収すべきであると主張している。政府にしてみれば、今まで税金を払っていた労働者に代わって今度はロボットが税金を納めてくれれば願ったりかなったりだが、ゲイツ氏には具体的にその社会的効果を指摘している。

 ひとつにはロボットに課税することで、企業のロボット導入とロボット開発が緩やかになり、その間の雇用創出や労働者の再教育などに費やす“時間稼ぎ”ができるという点だ。確かに急激なロボット導入はすぐさま大量の失業者を生み出すことになる。

 ふたつめは“ロボット税”を現在深刻な人手不足に直面している介護職と保育職への予算に割り当てることだ。そしてロボットによって仕事を奪われた人々の雇用を社会福祉分野が受け皿になることで、雇用の流動性が生まれ失業のリスクを食い止めることができる。

 ゲイツ氏の言い分はごもっともという感を受けるが、件の“シンギュラリティ”を迎えた後は、自分たちが不当に搾取されていることを理解したロボットがひょっとして労働運動を起したりして!? これとてまったくの絵空事と言えそうもないからますます不気味である。
(文/仲田しんじ)

【参考】
・Futurism
https://futurism.com/bill-gates-this-will-be-the-biggest-technological-breakthrough-of-our-lifetime/
・Quartz
https://qz.com/911968/bill-gates-the-robot-that-takes-your-job-should-pay-taxes/