『大相撲の見かた』(著・桑森真介、平凡社)

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新横綱・稀勢の里の人気で大相撲が久し振りに大フィーバーだ。開催中の春場所は連日大入りで、会場の大阪府立体育会館(エディオンアリーナ大阪)は熱気に包まれている。4横綱時代が始まり、若手の御獄海や正代も力をつけ、小兵ながら珍しい技を繰り出す「アクロバット相撲」の宇良も新入幕した。取組も楽しみだが、古来より神事として受け継がれてきた相撲には作法やしきたりもある。もっと相撲を楽しむために舞台裏の事情も覗いてみたい。

J-CASTニュースの書籍サイト「BOOKウォッチ(http://www.j-cast.com/bookwatch/)」でも特集記事を公開中。

白鵬や稀勢の里の特意の攻め方は

丸い土俵の上で押し出すか、転がすか。相撲は単純な勝負に見えるが、決まり手は82手もある。仕切り、立会いの駆け引きから、立ち上がってからの動きも、いなす、おっつけ、かち上げ、差す、さばく、たぐる、はず、前みつ、巻き返し、もろ差しと実に多彩だ。

『大相撲の見かた』(著・桑森真介、平凡社、842円)は、右四つか、左四つか、上手(うわて)か、下手(したて)かなど、相撲用語を駆使して勝負の見どころを解説する。現役の白鵬、日馬富士、鶴竜、稀勢の里、豪栄道、琴奨菊らの特意な攻め方や取り口も紹介、これがわかれば相撲の見方が変わってくる。

著者の桑森真介氏は子どものころから相撲が大好きで、明治大学相撲部に進み、全国学生相撲選手権大会で準優勝した。その後も相撲の研究を続け、現在は明大教授。ファンだけでなくアマチュア選手、指導者、プロ力士にも参考になりそうだ。

大相撲の舞台を支える名脇役たち

大相撲を支えているのは力士だけではない。土俵でまく塩、色とりどりの化粧廻し、櫓太鼓や触れ太鼓など大小様々な脇役がいる。そのいわれやエピソードを交え、相撲のもうひとつの面白さを教えてくれるのが『大相撲の道具ばなし』(著・坂本俊夫、現代書館、1296円)。

昔は土俵のことを「土豚」ともいっていた。その中に何が埋まっているのか。いまの国技館は3代目。初代はどこか。弓取式の始まりはいつ。幕下以下の行司は裸足。力士が一喜一憂する番付表は誰が書くのか――。知られざる相撲の不思議を語る。

他に締め込み、下がり、明け荷、汗かき、相撲櫛、相撲膏、軍配、木戸、御免札、懸賞金など、あれって何だろう、と思うことが次々に出てくる。

稽古を見守る親方のような猫

『モルとムギ 相撲部屋の猫親方』(著・荒汐部屋、前田悟志、河出書房新社、1296円)は、モルとムギという2匹の猫と12人の力士の暮らしを描いた写真集。

2匹は東京・日本橋浜町の荒汐部屋に10年以上も住んでいる。モルは九州場所の福岡市から連れられてきた。中国内モンゴル自治区出身の蒼国來(そうこくらい)が猫のことをモンゴルの言葉の「モル」と呼んでいたので、そのまま名前にしたそうだ。朝から稽古を見守り、まるで親方のように座布団に座る。ムギは人見知りするタイプ。

部屋の師匠は元小結の大豊。小部屋だったが、猫が招いたのか、いまは力士と行司、床山も抱える。2匹と大きな力士との交流が何とも心温かい。テレビや雑誌で話題になり、モルとムギを目当てに来るファンも多い。著者の前田悟志さんは猫の写真を撮る「ネコグラファー」の名で知られる。