開幕3連敗で最下位に転落――。大宮アルディージャの2017シーズンは、苦難の道のりとなりそうだ。


大宮アルディージャはホームでジュビロ磐田に敗れて開幕3連敗 川崎フロンターレ、FC東京に連敗を喫して迎えた第3節のジュビロ磐田戦。開始早々にMF中村俊輔に”記念すべき”移籍後第1号ゴールを直接FKで叩き込まれると、後半立ち上がりにもDFの対応のミスを突かれ、FW川又堅碁に追加点を許してしまう。終盤に巻き返して1点を返したものの、同点、あるいは逆転を実現できるほどの力は足りなかった。

「失点の時間帯の悪さが、今日の敗因のすべてかなと思います」と守護神のGK加藤順大が振り返ったように、前・後半の立ち上がり、いわゆる危険な時間帯での対応をおろそかにしてしまっては、なかなか結果はついてこない。つまり、典型的な負けパターンに陥った大宮の「敗れるべくして敗れた」試合だったと言える。

 昇格1年目の昨季は5位に躍進し、さらなる上昇を目指して臨んだ今シーズン。しかし、当初から懸念されていた不安要素が、さっそく表面化してしまった印象だ。チームの大黒柱だったMF家長昭博の流出である。

 昨季までの大宮は、よくも悪くも「家長のチーム」だった。ポジションは主にトップ下を務めていたが、実情は自由気ままにポジションを変えるフリーマン。常にボールの近くでプレーし、味方を使いつつ、チャンスメイクのみならず、フィニッシャー役も担う。昨季は26試合に出場し、11得点・5アシスト。チームの総得点(41)の3分の1以上に絡む活躍だった。

 コンスタントに勝ち点を積み重ねた昨季の大宮だったが、セカンドステージ序盤だけは結果を出せなかった。その時期が、家長が負傷離脱していたタイミングと重なっていることも、大宮が「家長のチーム」だったことを裏づける事実である。

 その大黒柱が川崎Fに移籍した今季、大宮にとってはピンチであると同時に、さらなる進化を遂げるチャンスでもあった。個人頼みのサッカーでは、いずれ限界がくる。チームの組織性を高め、攻守においてイニシアチブを握るスタイルこそ、今季の大宮が目指すサッカーだった。

 その姿勢は、この磐田戦でも垣間見えた。ロングボールに頼らず、最終ラインからしっかりとつなぐサッカーを展開。ボール支配率では磐田を確実に上回っていた。

「戦前からボールを回されることは予想していました。川崎F、FC東京との試合を見ても、優勝候補相手に自信を持ってボールを回していた」と、磐田の名波浩監督が振り返ったように、大宮のパススタイルは相手に警戒心を与えるレベルにあることは確かだろう。

 ただし、そのパス回しの質は決して高くなかった。磐田が中央をしっかりケアしたこともあるが、縦になかなかボールが入らず、ゴールに向かう圧力をほとんど感じられなかった。支配率の割にはシュートの数は少なく、逆にビルドアップのミスからピンチを招くなど、俗に言う「持たされている状態」に陥った大宮は、相手の術中に完全にはまっていたと言える。

 一方で、自らが主体的に動き、狙いどころを定めたボール奪取も実現できなかった。結果的にボールの取りどころが自陣深くとなってしまったため、ショートカウンターも仕掛けられない。遅攻も速攻も繰り出せず、手詰まりとなるなか、浮かび上がったのはやはり家長の存在だ。ボールを収められ、打開でき、リズムを生み出せる昨季までのエースがいれば……。「家長ロス」の影響は、今の大宮にとって思いのほか大きいのかもしれない。

 光明があるとすれば、攻勢を強めた試合終盤の時間帯。なかでも、今季のチーム初得点となるゴールを決めた途中出場のFW清水慎太郎の存在が目についた。

「前半は足もとでもらう選手が多く、裏に抜ける選手がいなかった。自分が出たら裏に出ようかなと思っていました」という24歳のアタッカーにあったのは、単純にゴールへ向かうというシンプルな姿勢。得点のみならず、終了間際には鋭いカットインからあわやというシュートを放つなど、大宮攻撃陣のなかで唯一輝きを放っていた。

 この日は、新エースとして期待されるFW大前元紀が不在だったことも影響していただろうが、ボールを回すことを意識するあまり、リスクを負うプレーを欠いていた。その状況を打開した清水の姿勢こそが、今の大宮にもっと求められる要素ではなかったか。

 一方で、選手たちが感じていたのは、スタイル以前の問題だった。在籍3年目を迎えるMF横谷繁は、苦渋の表情で試合を振り返っていた。

「厳しいかもしれないですけど、現状に満足しているかというか、スタメンで出られていることに満足しているような選手がいる。球際だったり、身体を張るところで逃げているような気がする」

 そもそも大宮は、ハードワークが売りのチームだったはず。泥臭く球際で戦い、相手より多く走り、献身的に闘えるチームというイメージを抱いていた。ところがこの試合の大宮には、そうした要素が欠けていた。表面的な形は整っていたように見えたが、肝心の中身の部分が備わっていなかったのだ。

 淡々と戦い、淡々と敗れた――。家長うんぬんより、闘う姿勢の欠如こそ、今の大宮が抱える問題なのかもしれない。このままでは、昨季払拭したかに思われた「万年残留争い」の定位置が、ふたたび彼らの指定席となりかねない。

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