今季GK陣では唯一の6キロ台を記録した西川周作。今季は“走る守護神”としても貢献する。写真:徳原隆元

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[J1リーグ 3節]浦和レッズ 4-1 ヴァンフォーレ甲府
2017年3月10日/埼玉スタジアム
 
「レッズのゴールキーパー(GK)は運動量が求められるポジション。もっと、高いレベルの要求に応えて、どんな状況も当たり前のように対応していきたい」
 
 浦和レッズの不動の守護神、西川周作が3節・甲府戦後、ふとそう漏らした。GKが運動量を求められている--というのだ。
 
 そこで、西川の今季の総走行距離を調べてみた。
 
 すると甲府戦の6.108キロは、今季これまでのJリーグのGK陣の中で最長であり、唯一の6キロ台だった。また、1節の横浜戦(●2-3)でも同節のGK陣1位となる5.607キロを記録。2節のC大阪戦の5.338キロ(〇3-1)は同3位だった。
 
 3節平均の5.684キロは、GK陣の中で目下1位。多くのGKの走行距離は3〜4キロが平均的であるなか、確かに西川の運動量は突出していた。
 
 昨季の西川の1試合平均の走行距離は、5.047キロ。まだ3試合を終えた時点とはいえ、明らかに昨季を大幅に上回ってもいた。
 
 西川によると、Jリーグが発表するトラッキングデータは「あくまでも参考程度」にチェックしている。それでも最近は、「5キロを超えていると、チームが主導権を握れていて、そのなかで自分も貢献できていると感じられる」と、ひとつの目安にしているそうだ。
 
 チーム全体のポゼッション率を高めることで、勝利の確率を上げるのが浦和の基本スタンスだ。ボールを持つ時間を伸ばして、相手に攻めさせる時間を“与えない”のが狙い。そのなかで、ペトロヴィッチ監督は、GKの西川らにもビルドアップに関与する“11人目のフィールプレーヤー”としての役割を求めてきた。
 
 さらに今季の浦和は、「できるだけ相手陣内で試合を進める」(ペトロヴィッチ監督)という高い理想に取り組んでいる。となれば、後方(浦和陣内)のスペースは一段と空き、GKが守る範囲も必然と広がる。

 カウンターにさらされやすいというリスクが伴い、GKの負担も一段と増す。ただ指揮官はあくまでも西川であれば、そのすべての役割をこなせると踏んで、より高いレベルを要求しているのだ。
 
 守る、蹴る、走るという、まさにサッカーに必要なすべての要素が、浦和のGKには求められている。そのなかで、西川が少なからずより意識しているのが、“走る守護神”になることだと言う。
 
「DF陣の背後のスペースは常に狙われていることを前提に、ケアをしなければならない。中途半端な対応になることを、一番避けなければいけない。そのためには、頭も身体もフル回転してなければならない」
 
 そのように西川は心構えについて説明する。そのうえで、今後の課題についても挙げていた。
 
「サイドにボールを蹴られた時に、自分が出るのか、出ないのか、その対応はもっと頭を使って考えて取り組みながら、感覚として刷り込ませていきたい」
 
 監督によっては、GKは守備力さえ備えていれば良い--という考えを持つ者も少なくない。ただ、西川自身はそういった“いかにしてGKも得点に絡むか”というペトロヴィッチ監督の攻撃的な志向のもとで成長を遂げてきており、ある意味、GKの固定概念を変えていく作業に、意気に感じながらチャレンジしている。
 
 例えば、今回の甲府戦では、武器である左足のロングフィードから、ビッグチャンスも作り出している。関根の動き出しに反応し、相手GKの手前でバックスピンがかかる絶妙なキックを放ってみせたのだ。
 
 しかし関根がジャンプして押し込んだシュートは、GKの頭を越えたもののゴールの枠を捉え切れず、得点にはならなかった……。GK西川のアシストはフイになってしまったのだ。