Microsoftのビル・ゲイツ、Appleのスティーブ・ジョブズ、Facebookのマーク・ザッカーバーグなど、今世紀の成功者はIT業界から多く生まれている。そうした先達を目指し、子供の将来を考える親たちの間で、「STEM教育」(ステム教育)が注目されつつある。

“STEM”とは、「Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)」の頭文字を取ったもの。これら4分野の教育に注力することで、科学技術やビジネスの国際競争力が高い人材を育成しようとするものである。米国のオバマ大統領が一般教書演説等で優先課題の一つとして取り上げ、一般に広まったといわれている。

日本でも文部科学省が2020年に小学校へのプログラミング教育導入を検討するなど、この分野への教育熱が高まってきているようだ。

そうした状況を背景に、各社から関連教育ツールの発表が続いている。

“21世紀型スキル”を養えるロボットキット「PETS」

この度、“21世紀型スキル”を育むことを目的とした株式会社for Our Kidsが、パソコン不要のプログラミング学習用ロボット「PETS」を米国最大の教育イベント「SXSWedu Conference & Festival」へ出展した。

これに合わせて、クラウドファンディングサービスKickstarterでサポーターの募集を開始。4月16日まで出資を受け付けている。

for Our KidsによるKickstarterの募集ページ


「PETS」は木製の自走型ロボット。本体上部にある穴へ「コマンドブロック」という動作を指示する部品を差し込むことで、動きをプログラミングできる。

前進や後退、右左折や動作の繰り返しなどを好きな順番で指定することで、マス目が描かれたシート上で障害物を避けながらスタートからゴールへ到達するよう誘導する。

パソコン操作が不要なので、幅広い年齢層が使用できる(対象年齢は3歳後半から)。「PETS」によって「順次処理」「反復処理」「分岐処理」というプログラミングに求められる3つの基礎力が養えるという。これは、「Scratch」など視覚的なプログラミングを行なえる「ビジュアルプログラミング」の前段階に向いているとのことだ。

for Our Kidsでは、製品の販売はもちろん、レンタルやワークショップの開催、カリキュラムの提供なども行なっている。

株式会社for Our Kids
http://4ok.jp/

色のついた線の並びでプログラミングする「Ozobot」

キャスタリア株式会社が販売する「Ozobot」。たこ焼きのような見た目も可愛らしい自走式のロボットで、いわゆるライントレーサーと呼ばれるもの。ユーザーが描いた線をたどって動くため、直感的でわかりやすい。

「Ozobot」のWebページ


Ozobotの大きな特徴はラインをたどるだけでなく、コードで指示を与えられること。ライン上に決められた順番で色をつけることで、動作をプログラミングできる。

例えば、青→黒→青(「はやく」の指示)としておけば、その上をOzobotが通ることで、スピードが速くなる。カラーコードは色ペンを使って自分で描く他に、別売りのシールが用意されている。自分で書いた線の上に貼ることで様々な指示を与えられる。

キャスタリアが用意しているカラーコードシール解説表


また、パソコンを使ったプログラミングも可能。「OzoBlockly」というオンラインのビジュアルプログラミングツールが用意されており、コマンドが定義されたブロックを組み合わせることで、Ozobotの動作やLEDの光り方などをプログラミングできるのだ。

パソコンを使えない未就学児や小学校低学年などの低年齢層にはカラーコード、ある程度パソコンが使えるようになったらOzoBlocklyなど、使い分けるのも良さそうだ。

Ozobot
https://ozobot.jp/

SF映画に出てきそうなボール型ロボット「Sphero SPRK+ロボット」

タイヤも何もついておらずボール状の本体だけで転がる様子が不思議な「Sphero」。SF映画に出てきそうな形状から話題になったロボットだが、2016年にプログラミングしやすくなった新型「Sphero Sprk+ロボット」が登場した。現在、Apple Storeで販売されている。

Sphero Sprk+ロボットの紹介動画

 

Sphero Sprk+ロボットはBluetooth接続したスマホで操作するラジコンのような使い方の他に、「Lightning Lab」という専用アプリ(iOS/Android)をインストールしておく事で、動きや光り方をプログラミングできる。

「Lightning Lab」ではブロック状のコマンドを組み合わせる事で、比較的容易にプログラミング可能。STEM教育の一環として、子どもでもチャレンジしやすいだろう。

Apple Store
hhttp://www.apple.com/jp/shop/product/HK8S2J/A/sphero-sprk+ロボット

子どもの興味を引き出し、プログラミングの楽しさを伝えたい

冒頭でも述べたように、日本でもSTEM教育に関心が集まる中、どのように教えていくのか、という課題が生じている。特にプログラミングを教えるために従来の手法ではパソコンを必要とするため、そもそもパソコンを使えない低年齢層への教育が困難となる。

そうした状況を背景に、本稿で紹介したようなロボットを用いた教育手法に関心が寄せられている。

ロボットは動いている様子を見るだけでも楽しく、子ども達の興味を引きやすい。そして、その動きや光り方を自分で指示できるとなれば、モチベーションにもつながりやすいのではないだろうか。

これは子どもに限らず、非エンジニアの人々にとっても同じことが言えそうである。STEM教育へ関心が集まっていく中で、様々な人が学びやすい学習ツールが登場することを期待したい。

筆者:Fumiaki Ogawa