「Thinkstock」より

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 今年こそ新たに何かを始めようと計画し、具体的に取り組んでいる人も多いだろう。特にビジネスパーソンは、仕事に役立つ習い事を考える傾向にあり、なかでも「英語」を学ぶ意欲が高いようだ。

 英語を学ぶには、英会話スクール、通信講座、CD付き書籍など、さまざまな方法があり、どれを選べばいいか考えているうちに、時間だけが過ぎてゆく。そんなときは手っ取り早くなんとかしようと、「1日10分で」「聞くだけで身につく」といったうたい文句の教材を選びたくなる。

 本当にそれだけで、完璧な英語力が身に付くなら忙しい人にもうってつけだが、実際のところはどうなのだろうか。

 アルクの通信講座「1000時間ヒアリングマラソン」は、1年に1000時間英語を聞いて「耳のブレークスルー」を起こすというコンセプトで、今年、開講35周年を迎える。同講座の永井薫編集長によれば、「聞くことはとても大事だけれど、ただ聞き流すだけではだめ」とのこと。

 「赤ちゃんは親の語りかけを聞いて、徐々に人としての言語活動ができるようになります。人間と言葉との関係は、つまり、聞くことから始まります。『読み、書き、話す、聞く』の4技能といいますが、そのなかでも聞くことは、ほかの技能の習得の土台になります。英語についても、たくさん聞くことは必須です。しかし、同じ『聞く』といっても、意味をとらえようと集中して耳を傾けるのか、意味を持たない単なる音のかたまりが耳を素通りするだけなのかで、学習効果はまったく違います。模範となる英語の音声と、それを正しく書き起こした英文、日本語訳がそろっている教材を使うことをお薦めします」(永井氏)

 また、話す力を身に付けるためには、実際に自分でも声に出すのが手っ取り早い。

 「モデルの音声をそっくりまねして、自分でも口に出して繰り返し言ってみましょう。聞き取った英語を書き取る(ディクテーション)練習も役立ちます。なお、『英語ができる』ことと『英語が話せる』ことは、イコールではありません。日本語でもそうですが、話す前に、相手の言うことが聞けなければ会話は成り立たないからです。また、相手に通じさせるためには文法も非常に大切ですし、何かを説明するには単語力がないと始まりません。つまり、総合的な学習アプローチが必要なのです」(同)

 また、ビジネスの現場で英語が必要という人は、ある程度、英語の基礎力がついたら、実際に現場で耳にするような、生の音声を素材にしたほうが学習効果は高い。

 「TOEICテストのリスニングセクションも、より生の英語に近付いてきています。言い間違いがあったり、会話の途中で言いよどんだりする英語に、普段から耳を慣らしておく必要があります。日本人学習者向けに、ゆっくり、はっきり、滑らかに読み上げられた英語ばかりを聞いて、『聞き取れるから大丈夫』と思い込んでいると、実際に英語が必要なビジネスの現場で戸惑ってしまう場合があります」(同)

●自分の英語力を知る方法

 「英語なんて大学受験以来使っていないため、すっかり忘れてしまった」というビジネスパーソンが、あらためて英語学習を始めるには、「まずは自分のレベルを知ることが大事」と永井氏は強調する。そのためには、書店で、中学や高校の英語の参考書や問題集を見てみることも役立つという。

 「学生時代に英語が得意だったという人でも、何年かたてばレベルダウンしてしまうことは少なくありません。まずは、今の英語力がどのくらいか、どこらへんがあやふやかをチェックし、真の自分の実力に向き合うことが大切です」(同)

 また、どうして英語を学びたいのか、目的を明確にすることも重要という。たとえば、海外旅行で会話ができるレベルに達したいのか、ビジネスの交渉をするために必要なのか、など、その目的によって選ぶ教材が変わってくる。

 「英語を習得するためには、ある一定の時間がかかります。とはいっても、四六時中、英語を“勉強しないと”と考えるとおっくうになるので、自分が楽しめる素材や学習法、ツールを取り入れることも、大切なポイントです。最近では海外のインターネットニュース動画も手軽に見られますし、映画を見ながら生の英語に触れるのもいいでしょう。趣味の分野の記事を英語で読んでみる、というのもいいですね」(同)

 2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、ますます英語の必要性を感じる機会が増えるだろう。また、あと10年もすれば、小学校高学年から英語を学んだ世代が社会に出てくるため、日本語しか話せないと取り残されてしまう可能性もある。

 今後、私たちの生活にとって、英語がより重要になってくることは間違いない。英語を使って自分はどうなりたいか、というゴールを見定め、効率的に、楽しく、学習を継続しよう。
(文=OFFICE-SANGA)