モデル業界を革新する女性起業家「TRUE Model」創業者が歩んだ道

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モデル事務所「TRUE Model Management」を率いるデール・ノエルが、ファッション業界に変革を起こそうとしている。

ノエル自身も元モデルだ。20年近く、業界大手のフォード・モデルズに所属し、フィッティングモデル(ブランドが新作の仕上がりサイズなどを確認する際に商品サンプルを試着するモデル)としてヴィクトリアズ・シークレット、J.クルー、ギャップ、カルバン・クラインなどの仕事に携わってきた。

TRUEに所属する約200人のモデルは、長身で痩せた若いショーモデルばかりではない。プラスサイズのモデル、フィットネスモデル、フィッティングモデル、SNSインフルエンサーなど、従来のモデルのイメージには当てはまらないモデルが多数所属する。年代も性別も人種も様々だ。

「モデルの仕事で大事なのは、ルックスだけではありません。今のクライアントは個性を求めます。SNS上でアクティブな人、一緒に仕事しやすい人、服の着心地などについて適切なフィードバックを与えられる人などに需要があります」とノエルは言う。

ノエルが所属モデルに求める条件の一つは、健康的であることだ。プラスサイズのカテゴリーであっても、健康管理がしっかりできている者にしか仕事を与えない。34歳で海軍出身のラテン系人気プラスサイズモデル、メリンダ・パリッシュがいい例だ。

今でこそ「Vogue」「People」「TMZ」などのメディアで取り上げられ、SNSキャンペーン#healthyatanysize(どんなサイズでもヘルシー)の発信者として知られるパリッシュだが、TRUEと契約した時の体重は、130キロ超だった。「約2年間かけて彼女の減量と健康改善をサポートしました。個性的で、情熱と目的を持ち、活力にあふれた彼女は、バランスの取れた人間のお手本のような存在です」とノエルは話す。

ノエルはまた、モデルの仕事以外にも打ち込めるものが必要だと力説する。自身は30代の時に口腔がんを患ったことをきっかけに、ニューヨーク大学のがん研究センターなどで患者と研究者の支援を続けてきた。

テクノロジーの導入で業界に革新を

「TRUEに所属するSNSインフルエンサーに対しても、彼らの目標や理念などを探す手伝いをしています。SNSに写真をアップしてお金を稼ぐだけでなく、より良い社会を作る声になることが重要です」。TRUEには、TRUE Careという慈善活動に特化した部署がある。収入の一部をチャリティーに寄付したいモデルと、寄付先をマッチングする部署だ。

「私が知る限り、モデル事務所としては初の試みだと思います。少なくとも大手はしていないはず」とノエルは言う。

そしてもう一つ、ノエルが変えようとしている業界の習慣が、洋服のサイズ表示だ。近年のアパレル業界では、ブランドが消費者の購買欲をくすぐるために実際よりも小さなサイズを表示する通称「ヴァニティ・サイジング(虚栄心サイジング)」が横行している。アメリカ人の平均ウエストサイズの増加に伴い、多くのブランドが各サイズのウエストを5センチ以上ずつ上げているのが現状だ。

この傾向を止めるため、ノエルは世界最大の国際標準化・規格設定期間ASTMインターナショナルと組み、ブランドに正しいサイズ表示を行うように働きかけている。「いいデザイナーはきちんと規定に沿ったサイズ感やフィット感の商品を作ります。そこで重要な役割を果たすのがフィッティングモデルです」とノエルは話す。

モデル事務所TRUEの躍進について、ノエルは「自分が正しいと思うことをしていたら、同じ志を持つ人たちが集まってきて、仕事が回り出しただけ」だと言う。ノエルは裁縫師の祖母とアパレル工場長の父の仕事を見て育ち、幼い頃からデザインや縫製の技術を身につけてきた。フィッティングモデルになったのは自然の流れと言える。自ら事務所を立ち上げたのは、得意先から同じ体型のモデル仲間の紹介を頼まれたことがきっかけだ。

TRUEは現在、ニューヨークを拠点に、ロサンゼルスと香港で展開する。チームメンバーは8人に増えた。ノエルの次の目標はテクノロジーの導入だ。「モデル業界にITが普及していないせいで業務の効率化が進まないことにずっと不満を持っていました。今、ソリューションを開発しているところです」