NHK 大河ドラマ「おんな城主 直虎」(作:森下佳子/毎週日曜 総合テレビ午後8時 BSプレミアム 午後6時)
8話 2月26日「赤ちゃんはまだか」演出:福井充広  視聴率13.4%(ビデオリサーチ調べ 関東地区)
9話 3月5日「桶狭間に死す」演出:藤並英樹   視聴率14.0%(ビデオリサーチ調べ 関東地区)


8話は、井伊直親(三浦春馬)の妻・しの(貫地谷しほり)が4年経っても子宝に恵まれず、ぴりぴりして次郎法師(柴咲コウ)を敵視する場面などがあって、かなり女子ドラマだった。とはいえ、この時代の女性が背負う子供(しかも男子)を産む重責を丁寧に描いていたことには好感がもてる。
一転して9話は、歴史的に有名な「桶狭間の戦い」(1560年)で、男のドラマが戻ってきた。井伊家の人々がたくさん亡くなり、次郎の父・直盛(杉本哲太)も壮絶な死に様を見せた。が、当主不在の井伊家は不穏な空気。謀反の疑いをかけられた小野但馬守政次(高橋一生)は、奥山朝利(でんでん)を斬ってしまうというスリリングな展開に。追い詰められていく高橋一生がまた魅力的で。

男主体の戦を書く9話ではあったが、夫・直盛の亡骸への千賀(財前直見)の対し方は女のドラマだった。泣くのではなく「お髭を整えましょうね」と静かに語りかける。代わりに、うしろで、乳母たけ(梅沢昌代)がおいおい泣く。
「直虎」がやはり女のドラマであることは、8話で子供ができずにやきもきするしのが9話でまるで直盛の生まれ変わりのように子供を身ごもる流れだ。歴史の影に女ありとはよく言ったもの。

こうして、いよいよ井伊直政(子供時代・寺田心、未だ当分先だろうが成人時代・菅田将暉)の登場かと井伊家ファンはわくわくの2017年3月現在、直政が初代藩主となった彦根では、3月18日(土)から12月10日(日)まで、国宝・彦根城築城410年祭が行われる。
410年という実に微妙な節目なのだが、「直虎」に合わせたほうがいいに決まっている。開国記念館では「おんな城主 直虎」に登場する衣裳や小道具の展示が、天秤櫓では「井伊家 家宝の魅力と江戸期の世界」が行なわれるほか、展示やイベントが色々予定されているので、これを機に、浜松だけでなく彦根にも足を運んでみたい。

なんといっても彦根には直政の墓所・清涼寺がある。
清涼寺? 龍潭寺じゃないの? と思うひともいるだろう。次郎法師が修行を積んだ寺は浜松の龍潭寺には直盛や直虎の墓がある。次郎法師こと直虎が後見人となった井伊直政がのちに彦根藩主となり、墓は彦根の清涼寺につくられ菩提寺となった。

彦根には浜松龍潭寺の分家の龍潭寺がある。ドラマにも登場している昊天(小松和重)が開いた寺で、井伊家のひとびとの位牌もあるとはいえ、直政の墓はそこにはない。
直政の墓があるのは、龍潭寺の隣に建つ清涼寺。
この清涼寺と、江戸で亡くなった井伊直孝と直弼が眠るのは東京世田谷の豪徳寺(招き猫が有名で、それがひこにゃんや、直虎の南渓和尚の猫エピソードの元になっている)、4代藩主・井伊直興の墓は東近江市の永源寺に建てられていて、この3つの彦根藩主井伊家墓所が、2015年に国の史跡に指定された。

清涼寺の建物の後方にある小山を登っていくと、彦根の街と空がよく見える場所に直政の墓がある。寺の中の寂光堂(非公開)には、直政をはじめ井伊家の人々の位牌がおさめられている。関係者しか入れないが、現在、そこには、浜松のマスコットキャラクター・出世法師直虎ちゃんのぬいぐるみもそっとお供えしてある。お寺の方々もドラマをチェックしていると言う。

清涼寺の境内地は、佐和山城時代に、昨年の「真田丸」でも活躍した石田三成とその妻と家老・島左近の屋敷があったところ。井伊直弼もここで禅の修行をした。
観光地として一般公開していないとはいえ、座禅道場を開いたり、イベントに建物を開放したりしているので、敷居が高いわけでもない。去る3月4日(土)には、「直虎」で雪斎を演じた佐野史郎が小泉八雲作品の朗読イベントを行っていた。

ドラマで直政が生まれる前にお墓の話をするのもなんではあるが、直政が登場し活躍しはじめたら、彼の墓所・彦根の清涼寺のことも思い浮かべてみたい。