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人類よ、テレビをしまえ

家中の壁がディスプレイ



“自走する変形ロボ”というだけでも胸アツなのに、大好物のプロジェクターまで搭載とあっては、ニッポン放送の家電好きアナウンサー・吉田尚記が黙っているワケがない。家電メーカー・Cerevoの自走プロジェクター『Tipron』について、広報の甲斐祐樹さんを交え、前屈みで熱い想いを語った。

 

今月のZOOM! 観察ガジェット

 

Cerevo

Tipron

実勢価格:22万9800円



 

【変形! 移動! 投影! 前代未聞のプロジェクターロボット】

家電ベンチャーの雄・Cerevoが手掛けたプロジェクター搭載可変型ホームロボット。スマホアプリの操作で、最大80インチのプロジェクションができる。

 

「可変型ロボットというキャッチーさに埋もれがちだけど、『Tipron』は壁や天井をディスプレイとして使うことを提案し、人類にテレビを片付けさせてしまうデバイス。ディスプレイは部屋に置くものではなく、ロボットに投影させるものだという発想が新しい」と話す家電アナに、甲斐さんも「持ち運びや高さ調整などプロジェクターを設置する手間を考えると、ロボットが変形しスケジュールに合わせて映像を投影するほうが合理的ですよね。起床に合わせて天井にニュースを流すということを『Tipron』は全自動で行なってくれます」とニヤリ。


変形することで移動しやすさと投影場所の自由度を獲得しているのはもちろんですが、純粋に変形はかっこいい! 男のロマン!(吉田)

「これだけ動画配信サービスが充実してくると、もう僕らが必要とする映像デバイスは『Chromecast』などワイヤレス映像伝送機器でいいのではないか。テレビの前にいることから解放され、場所が限定されなくなったとき、人は天井に目を向けるんだ。実際に使ってみると、天井はまだ誰も手をつけていない家電のフロンティアだということに気づかされる。ロボット掃除機『ルンバ』の動作動線に合わせて部屋のレイアウトを決めることが普通になった今、『Tipron』によって家そのもののあり方もまた変わってくるかもしれない。アグレッシブな考え方をすれば、『Tipron』を前提に家を建てるのもおかしなことではない」

と、可能性に満ちた大海原を“見上げ”て夢想する航海士・吉田。

甲斐さんも「それ、全然アリですよ」と上空のエル・ドラドを見つめウットリ。そんな2人の様子を見て、俺は確信した。『Tipron』とは黄金大陸を求める開拓者たちのロマンなのだ、と。


移動のマニュアル操作は専用アプリで。でも基本は「一度自分で操作して場所を憶えさせて、次からはワンタッチで移動」。クレバー!(吉田)

ロボット作法も押さえてます

Cerevoの尖ったモノづくり



家電フロンティアに想いを馳せる一方、ちゃっかり「でもここまで尖ったアイデアになると、反対する人はいなかったんですか?(笑)」と探りを入れる家電アナ。

甲斐さんは「基本的に我々は反対されそうなモノしか作りません(笑)。売れそうなモノを作るのではなく、まず勢いで作ってみて、その上でどんな反応があるかという考え方をしています。どういうモノが売れそうかというマーケティングをしても、今までにない新しいモノは生まれません」と、涼しい顔でCerevoの尖ったニッチ戦略について語る。

また『Tipron』の原型となるアイデアはCerevo社内のチャットから生まれたそうで、「元々は卓上を動くプロジェクターがあったらいいねという雑談から始まり、だったら“家中動くようにしようぜ”と話が膨らみコンセプトが固まった」という。これにはさすがの家電アナも「生活必需品ではないからこそ面白いことが生まれる余地がある。いやぁ、尖り方が完全同意すぎて言葉が浮かばない(笑)」と串刺し状態。連載も50回以上続くとこんなレアな光景にお目にかかれるのか。


自席からスタジオに向かって移動中。見かけた人全員が「かわいい!」と好感度抜群。なお、バンパー装備なので、普通にぶつかった程度では本体も家具もノーダメージ(吉田)

もちろんただ尖ればいいというワケではなく、存在感があるがゆえにロボットを擬人化して捉えてしまい“誰かに見られている感覚”が気になるという声への配慮も考えられている。

「そういえば『Tipron』は充電ステーションにいる時は顔にあたる部分を必ず下に向けている。変形要素はそこでも活きてくるんだね。使用時以外はボディを折り畳んで存在感を消すという、まさに新時代のロボット作法だなぁ」と、気の利く『Tipron』に家電アナも感心。

「ロボット感でいうと音の良さもポイント。行き先を検出する際に鳴る電子音の“今考えてます”感も、人ではないロボットとしての表現が強調されているんだね。ロボットとの生活を考える意味でも『Tipron』が投げかけるものは大きい」。天井ロマンへ向けてロボットが舵を切り、家電シップの航海は続くのだ。


天井にモニターを設置したりプロジェクターで常設投影すのは不自然だけど、これなら! 共有視聴にも、寝転がって見るのにも最高(吉田)

 

吉田 尚記(よしだひさのり)/尖ったガジェットや思想に串刺しにされたいと願う、ニッポン放送の家電好きアナウンサー。アイドルやアニメ、落語に精通しているほか、ロボットを利用した天井の航海術にも定評がある。

 

文/アメリカ・アマゾン(@America_Amazon)

※『デジモノステーション』2017年1月号より抜粋

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