このところ電気モーターで走るクルマの評価が上がっています。新しい電気自動車という触れ込みの日産e-POWERを搭載したノートの販売は好調ですし、トヨタとしては初めて発電用モーターも駆動に利用するというプリウスPHV(プラグインハイブリッド)のパフォーマンスも好評のようです。

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そうした電動車両、プラグインハイブリッドというカテゴリーでいえば、量産モデルとして元祖的存在なのが三菱アウトランダーPHEVでしょう。

2017年2月にビルシュタイン・サスペンションなどを装備した最上級グレード「Sエディション」の追加をするなど商品改良を実施したアウトランダーPHEVに公道試乗することができました。

今回の商品改良のポイントは大きく3つ。まず前述の通り最上級グレードとなる「Sエディション」の追加、そしてバッテリーマネージメントの改良による急速充電時間の短縮(30分→25分)とEVモードの拡大、そして歩行者検知タイプへと進化したプリクラッシュセーフティシステムです。

新設された「Sエディション」の特徴はシャシー性能の強化にあります。構造用接着剤をリヤ周りを中心に塗布することでボディ剛性をアップし、ビルシュタイン製のショックアブソーバー(フロント倒立タイプ)を与えています。

マッド&スノータイヤを履いていることもあり、ビルシュタインだからといってスポーティ過ぎることなく、SUVとしての気持ち良い走りを目指したセットアップとなっていることが確認できました。

アウトランダーPHEVの駆動系は2.0リッターガソリンエンジンと前後独立モーターを組み合わせたハイブリッド4WDで、基本的に市街地走行ではモーターだけで走ります。つまり、発進からトルクフルですし、変速ショックもないので駆動系の雑味が少ないのが美点です。

さらに、前回のマイナーチェンジで回生ブレーキ(モーターで発電することで減速すること)の強弱をコントロールできるパドルシフトが付いていますから、ちょっとしたワインディングではアクセルペダルだけで加減速をコントロールするワンペダルドライビングが楽しめます。

そうしたシチュエーションにおいて、ビルシュタイン・サスペンションなどでハンドリングを引き締めた「Sエディション」の良さは際立ちます。リズムにのって運転していると、最低地上高が190mmもあるSUVであることを忘れてしまうほどの安定感があります。床下にびっしりとバッテリーを搭載したパッケージのメリットをビルシュタインを使ったサスペンションが引き出しているといえそうです。

視点が高く、しかしキビキビと走る様は、電動4WDのアドバンテージを感じる部分ですが、新しいアウトランダーPHEVは電動車両らしさを強調する機能も手に入れています。

それを示すのがセンターコンソールに置かれた「EV」ボタン。これを押すと「EVプライオリティモード」となり、可能な限りエンジンを始動させずにバッテリーに溜めた電力だけで走ろうとします。

これまで用意されていなかったことも意外ですが、プラグインハイブリッドを積極的に選ぶ環境指向のユーザーには嬉しい装備といえるのではないでしょうか。このおかげで、早朝などにEV走行で出発することが可能となりました。

また、加速時などにバッテリーからの電力供給を従来よりも持続させるように制御を改良しているため、発電のためにエンジンが始動するのを遅らせることができたというのも、今回の商品改良における見逃せない変更点となっています。

インテリアではSエディション専用シート地などを採用することで特別感を出しています。また、SエディションにはApple CarPlayやAndroid Autoに対応したスマートフォン連携ディスプレイオーディオを標準装備、グーグルマップなどによる最新のナビゲーションが利用できます。

先進安全技術では三菱がFCMと呼ぶ衝突被害軽減ブレーキのセンサーを従来のミリ波レーダーから赤外線レーザー+単眼カメラに変更することで、歩行者も検知できるようになりました。一方、ミリ波レーダーは追従クルーズコントロールに利用。いずれも標準装備となっています。

またメーカーオプションとして、リヤクロストラフィックアラート、誤発進抑制機能、後側方車両検知警戒システムが用意され、プリクラッシュセーフティの面でも十分なレベルに達しているのも、新型アウトランダーPHEVの特徴です。

●三菱アウトランダーPHEV Sエディション
車両型式:DLA-GG2W
全長:4695mm
全幅:1800mm
全高:1710mm
ホイールベース:2670mm
車両重量:1900kg
乗車定員:5名
エンジン形式:直列4気筒DOHC
総排気量:1998cc
最高出力:87kW(118PS)/4500rpm
最大トルク:186Nm(19.0kg-m)/4500rpm
駆動モーター定格出力:前25kW/後25kW
駆動モーター最高出力:前60kW/後60kW
駆動モーター最大トルク:前137Nm/後195Nm
駆動バッテリー:リチウムイオン電池
総電圧:300V
総電力量:12kWh
燃料消費率:19.2km/L (JC08モード)
タイヤサイズ:225/55R18
メーカー希望小売価格(税込):4,789,260円
クリーンエネルギー自動車導入促進対策費補助金:132,000円

(写真・文 山本晋也)

EVモードが拡大され、ビルシュタイン脚になった新型アウトランダーPHEVを公道試乗(http://clicccar.com/2017/03/12/453401/)