歌手の前川清が11日放送のTBS系『サワコの朝』に出演し、元妻・藤圭子さんとの結婚と離婚について自身が抱えた心境に言及。さらに、ニューヨークに渡った藤圭子さんから「自分の子供は天才だ」と告げられ、宇多田ヒカルがデビューし、その言葉の意味を衝撃をもって受け止めたことを明かした。

 1971年、23歳の時に演歌歌手の藤圭子さんと結婚した前川。交際当時、「隠れて会うのが面倒くさくて」との気持ちがあり、結婚することを決めた。ところが、籍だけ入れる予定だったが、テレビ局や事務所のしがらみのなか結婚式を盛大におこなったといい、「そこらへんから、ちょっとずつおかしくなりましたね。たぶん」と話し、わずか1年ほどで離婚した当時を振り返った。

 前川は藤圭子さんのことを「僕なんかよりも素朴というのか」と人柄に触れ、派手な結婚式をおこなうなかで、心が追いついていかなかったことを話す。「自分たちを見失うというのか、若さが出たというのか」と戸惑いの気持ちを抱える中で、離婚することを決断。自身と藤圭子さんの結婚に対する想像が異なっていたことを指摘した。

 そして、「だから喧嘩も何もない。今でも『何でだろう』っていう。今でも、もしかしたら一緒になれるんじゃないか。もし生きてらっしゃったら。僕も結婚してなかったら」とお互いが嫌いになって別れたのではないことを語っていた。

 その後、番組などで会った際に藤圭子さんからニューヨークに行くことを告げられた前川。「彼女自身が歌が嫌になったんじゃないしょうか。そういうイメージの歌が」と話すと、MCの阿川佐和子は「作られた藤圭子という…」と返し、藤圭子さんが抱えたものを理解しようとしていた。

 前川にはニューヨークから一度だけ藤圭子さんから連絡があったという。藤圭子さんから「自分の子供は天才だ」と伝えられたといい、前川は「えっ? 僕はわからなかった。今の宇多田ヒカルさんですよ、まだちっちゃい時ですよ」と藤圭子さんの言う言葉を、その当時はうまく呑み込めなかったようだ。

 その話を忘れていた前川だったが、1998年に宇多田がデビューを果たし、「凄さを覚えたというのか、身震いしたというのか。ええ〜、この子だったんだ」と衝撃をもって受け止めたという。

 藤圭子さんと声がそっくりと話し、「だからそういう血というのか、嬉しいのと。なんか、照らし合わせてみると色んなストーリーがあって、こういう歌手が生まれて。そういうのを感じますね」と過去を思い出しながらしみじみと話した。

 また、この2〜3年前から自身のコンサートで藤圭子さんの曲を1回だけ歌うという前川は「亡くなられて、歌は残りますけど、やっぱり命とともに忘れ去られるってのはあるんですよね。なんか寂しい思いがあって、じゃあ歌だけでも歌おうかなって」との理由を明かし、藤圭子さんへの思いを語っていた。