ソフトバンクCMのジャスティン・ビーバー、ギターと歌だけで勝負できる人の条件

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 現在放送中のソフトバンクのCMに学ラン姿で出演している世界的スーパースターのジャスティン・ビーバー。パパラッチとのいざこざや、一般人への暴行疑惑などゴシップには事欠かない彼ですが、CMで流れるギター1本での「What Do You Mean?」を聞いて、“なかなか侮れないぞ”と思った人もいるのではないでしょうか。さらっとささやいているようで、妙に引っかかる。

 やはり楽器一つと歌のみで聴かせるのは、ダテではありません。そうした確かな芸の裏付けとなっているのが、日常的に他人の曲をカバーするということ。

◆ジャスティンが度々カバーしている絶望的な曲

 オリジナル曲を書く前に、多くの良い曲を知り、それを真似してみることの大切さはバカにできません。かつて山下達郎も、「カバーで客を満足させられないミュージシャンはダメだ」と言っていました。

 そこで、今をときめくスーパースターたちがどんな曲をカバーして、それを自分の栄養にしているか見ていきたいと思います。

 まずは、ジャスティン。ファーストネームが同じジャスティン・ティンバーレイクの「Cry Me A River」やマイケル・ジャクソンを歌う機会が多いようですが、なかでも興味深いのがトレイシー・チャップマンの「Fast Car」を好んでカバーしている点です。

⇒【YouTube】はコチラ Justin Bieber - Fast Car (Tracy Chapman cover) in the Live Lounge https://youtu.be/hWdKwYKUe1M

 ジャスティンのキャラクターからは想像もつかないほど渋い曲ですし、また歌詞がとことん暗いのです。絶望から抜け出して、ようやく幸せな暮らしを手に入れたかと思ったら、それは“速い車”のごとく、あっという間に消え去ったと。

 よく見ると、まだ23歳なのに不安なほどうつろな目をしていますね。決して上手とは言えないギターの弾き語りですが、大事そうに「Fast Car」を歌う姿から、彼の違った一面が垣間見えます。

◆エド・シーラン、ギター1本であらゆる曲をカバー

 つづいては先日リリースしたニューアルバム『÷』(ディヴァイド)が売れに売れまくっている、イギリスのシンガーソングライター、エド・シーラン。ラジオやネット動画などに出演するたびに歌うエドは、さながら“現代の流し”といったところでしょうか。とにかく色んな曲を知っているのです。

 しかもただ知っているだけでなく、その場ですぐに演奏できるほど彼の身体の一部になっている。ロードの「Royals」をギターだけで演奏するのは、普段から遊びでやっていないとできないでしょう。そして前作『×』(マルティプライ)からの大ヒット「Thinking Out Loud」と、「How Would You Feel』(『÷』収録)から分かるのは、エドが心底ヴァン・モリソンが好きだということ。

 でも彼のスゴさはオールディーズもヒップホップもEDMも、良い曲なら全部学んでしまう器の大きさに感じます。「Shape Of You」(『÷』収録)でTLCの「No Scrubs」を思わせる節回しが出てきたかと思えば、「Bibia Be Ye Ye」(『÷』収録)ではポール・サイモンの『Graceland』をやってしまう。

 これがうわべだけの“お勉強”にならないのは、良いと感じたものしか取り入れない見識と、言葉と音楽を組み合わせる一番基礎の部分に“エド・シーラン印”が刻まれているからなのだと思います。

◆カバーも、もはや自分の曲…テイラー・スウィフトの貫録

 最後はカバーというより、もう貫禄があり過ぎて完全に自分の曲にしてしまっているテイラー・スウィフト。ゲストに招いたメアリー・J・ブライジの「Doubt」(アルバム『The London Sessions』収録)をデュエットする姿に、“フランク・シナトラが女性だったらこんな感じかも”と思ってしまいました。20歳近い年齢差をものともしない、テイラーの堂々たるホストぶりには驚くばかりです。

⇒【YouTube】はコチラ Mary J. Blige, Taylor Swift - Doubt https://youtu.be/GZ0474w66uw

 でも、押さえておかなければいけないのは、決して上手にカバーすることが目的ではないということです。Goose houseの皆さんが、どれだけ一生懸命にやっても音楽にならないのはどうしてだろうか? むしろそれを考えるために、他人の曲を学ぶのだろうと思います。 <TEXT/石黒隆之>