劇場版アニメの場面カット
 - (C) 藤巻忠俊/集英社・劇場版「黒子のバスケ」製作委員会

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 週刊少年ジャンプで連載された漫画「黒子のバスケ」。アニメシリーズも人気を博し『劇場版  黒子のバスケ LAST GAME』が3月18日より公開される。テレビ放送されたエピソードの総集編3部作が劇場上映されているが、完全新作としての映画はこれが初めて。取材に応じた原作者の藤巻忠俊は、自分の漫画が映画化されるというのが当初より目指していたゴールだったと明かす一方で、アニメは原作とは“違う世界”だと語る。

 藤巻が漫画家としてデビューしたのは2007年。そして2009年に「黒子のバスケ」の連載がスタートしてからは、ただただ漫画を描くのに必死でアニメ化されるとは思いもしなかったというが、「集英社に持ち込みしている頃は妄想する時間がいっぱいあったので、自分の作品がいずれアニメになり映画化して……という夢を描いていました。そういう自己顕示欲のようなものが作品づくりにつながるのだと思いますが、映画はその最大の形だと思うんです」。

 連載中は「想像の範疇にもなかった」というアニメ化。それには原稿を仕上げる忙しさに加え、もう一つの理由があった。「人気漫画がアニメ化されるというのは、素人ながらに“この時期”というのがあるのですが、『黒バス』はアニメ化のタイミングが遅かったんです。だから、その機を逃してアニメ化はされないのかなと思っていました」。アニメ化の企画が動き出したのは2011年頃。連載開始から2年ほどだが、藤巻は「周りはもっと早かったんです」と苦笑する。

 そのため、ついにアニメ化が実現した際には、とても喜んだそう。「作品が子供に例えられることがよくありますが、その感覚でした。子供が一人前になって、自分の手を離れて歩き出した。アニメは成長した子供を見るような感じでうれしかったです」と思いを吐露する。アニメ化に際し、レギュラー放送のほかドラマCDなどのグッズも含め、原作になかった要素が加わることには「不安はなかった」と断言。「アニメと原作は別物という意識なんです。違うもの、違う世界であると感じています。ですが、それはほぼ全面的に良い意味で捉えていて、漫画とアニメ、どっちもそれぞれ面白いので見てねという思いです」と独自の解釈を交えて説明した。

 そうした考えもあり、アニメには「できるだけ干渉しない」というスタンスだったという藤巻。制作過程についても「アニメにはアニメの文法だとか作り方があり、漫画とは別物」と思っており、テレビシリーズに関してはキャラ設定の段階で自身のイメージとのすり合わせを行った程度。それが今回、満を持して監修として劇場版プロジェクトに参加したことについては「特に大きい理由はないんです」と明かしながらも、喜びをにじませる。映画のベースは、本編の連載終了後に続編として描いた「黒子のバスケ EXTRA GAME」。「『EXTRA GAME』は実は映画になったらこんな風にしてほしいというスタンスで描いていたところがあるので、それがいざ映画になるというときにいろいろ手伝わせてもらったのは、ありがたかったです」。

 控えめな態度をつらぬく藤巻だが、この劇場版には“これが最後”という感覚を持って臨んでいた。「もうやりたくないという意味では決してないですが、終わらせるつもりでやりたいし、やってほしいという思いがありました」と冷静な口調にも熱を込める。脚本には藤巻による書き下ろしストーリーも加えられている。内容は明かせないが、「けっこう内容が重く、大きい出来事なので、ほかの部分に矛盾が出ないように、全体を通して何度も見て調節した」とこだわり抜いたストーリー。ファンも納得の仕上がりが期待できそうだ。(編集部・小山美咲)