[3.11 J2第3節 東京V4-0水戸 味スタ]

 冷静に右足ダイレクトでゴールネットを揺らした主将は「あれは運が良かったです。いいところにこぼれてきたので枠に飛ばすだけでした」と笑顔交じりに振り返った。東京ヴェルディのDF井林章は3-0の後半アディショナルタイム2分にMF安在和樹のミドルのこぼれをダイレクトで叩き込み、今季初ゴールを記録。守備では3バックの右ストッパーとして完封勝利に貢献した。 

 頭ではなく右足でのゴール。4得点を記録した昨季も初ゴール(4月29日・群馬戦)は右足で決めたもの。セットプレーなどからヘディングで決めているイメージもあるが、これまでも少ないチャンスをものにしては“足”でもネットを揺らしており、本人は「なんだかんだ毎年足で1点は取っている気がするので……何かあるのかもしれないですね」と笑う。

 この日のゴールは3-0の後半アディショナルタイムに生まれた。安在のミドルを相手GKが弾いたところ、ゴール前左に詰めていた井林は冷静に右足を一閃。的確なダイレクトシュートでネットを揺らした。

 殊勲のDFは「シュートはインターセプトの延長線上にあるつもりでやっています。止めてシュートというのは、なかなかフリーで打たせてくれないのでないんですけど。ダイレクトで打つとき、僕の中では相手のボールをインターセプトするのと同じような感覚です。守備の延長にダイレクトシュートがあるのかと思います」と話した。

 これまでの東京Vではおもに4バックのセンターを務めてきたが、ロティーナ監督の就任とともに今季は3バックの右ストッパーを担う。中央の永田充がレーザービームのようなパスで攻撃の起点となる横で「自分が(ボールを)つけなくていいので楽ですよ。立っているだけでいいので助かります」と冗談めかして話すが、言葉とは裏腹に井林はいぶし銀の働きをみせている。

「今年は右のストッパーなので、自分が目立たないほうがチームが上手くいくんじゃないかなと思います。あまり目立ちすぎないような選手のほうがいいかなと。点を取るのはまぁ狙ってもいいかもしれないですが、自分がしれっとボールを取って攻撃につながれば。そんな感じでいいです」

 開幕直前の2月22日には入籍。最愛の伴侶を得て迎えたプロ5年目のシーズン。井林は「いい年になればいいです」と頬を緩ませる。主将としての重責を負い、寡黙に戦ってきたが今年は少しばかり様子が違う。細やかにオーガナイズされた守備のなかで肩の力も抜け、より一層活き活きとプレーしている井林がそこにいる。

(取材・文 片岡涼)