中国全人代の政府活動報告で李克強首相は香港と台湾の独立の動きに触れ、「前途はない」「決して許さない」などと強い表現で警告した。香港と台湾で広がる中国離れを警戒しているとみられる。

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2017年3月11日、中国が香港と台湾の「独立派」をしきりにけん制している。李克強首相は5日に開幕した全国人民代表大会(全人代)の政府活動報告で香港と台湾の独立の動きに触れ、「前途はない」「決して許さない」などと強い表現で警告した。香港と台湾で広がる中国離れの動きを警戒しているとみられる。

「一国二制度」の香港では民主化を求める14年の「雨傘運動」以降、中国ではなく香港を「本土」とみなす「本土派」が台頭。昨年9月の立法会(議会)選挙で初めて本土派議員が誕生した。香港政府は、中国政府の意向を背景に、こうした議員らの資格剥奪を司法に求めるなど、圧力を強めている。

全人代報告で李首相は「『一国二制度』が香港、マカオで揺らぐことも形を変えることもなく実施されていくよう保証しなければならない」と指摘し、中国大陸との経済連携を強めて「香港やマカオの地位と機能を高める必要がある」と強調。「香港独立に前途はない」と言及した。

香港では26日に行政長官選挙が行われる。立候補しているのは、親中国派の林鄭月娥前政務官(閣僚)と曽俊華前財政官(同)、無党派の胡国興元判事の3人。産業界などの代表や議員からなる選挙委員(定数1200人)による投票で過半数を得た候補者が中国政府に任命される。

親中派の中でも中国指導部が推す林鄭氏が優位と報じられているが、民主派や独立派も一定の存在感を示している。7月には中国への返還20年の節目を控えており、李首相の報告は行政長官選挙をにらみ、反中国勢力をけん制し、香港社会の引き締めを狙ったとみられる。

一方、台湾について李首相は政府活動報告で「いかなる方式、名義によってであれ、台湾を祖国から切り離そうとする者は決して許さない」と述べ、昨年の活動報告にはなかった強い表現で、独立志向の民進党・蔡英文政権をけん制した。

さらに、李首相は「両岸(中台)同胞は共に民族の大義を担い、揺らぐことなく祖国の平和統一プロセスを推し進めなければならない」とも主張。強硬姿勢の背景には、トランプ米大統領が就任前の昨年12月、蔡総統との電話会談に踏み切ったこともありそうだ。

全人代と同時に開催された国政助言機関・人民政治協商会議でも兪正声主席は活動報告で、「一つの中国」の原則をめぐる「92年コンセンサス」を堅持し、「台湾独立に向けたいかなる形式の行為にも断固反対する」と述べた。台湾メディアによると、兪主席は昨年の活動報告でも「92年コンセンサス」の堅持と台湾独立反対を明言していたが、今年は台湾独立に関して「いかなる形式」の言葉が追加されたという。(編集/日向)