男女比は、全体では男性6割、女性4割だが、正規雇用は男性、パート・アルバイトなど非正規雇用は女性のほうが多い

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 最近、話題のキーワードの一つ「働き方改革」。昨年9月、首相や有識者が参加する「働き方改革実現会議」が設置され、多様な働き方や、長時間労働の是正を目指し、議論が交わされている。議論の行方次第で、家電量販店を含む小売業は、営業時間の短縮や人材補充などのため、当初描いた成長戦略の見直しを余儀なくされるかもしれない。しかし、同時に「ブラック」といわれるイメージが改善し、就職先としての魅力が高まるはずだ。

 経済産業省の「平成26年商業統計」によると、調査時の2014年7月1日時点で、役員を含めた全国の家電大型専門店(以下、家電量販店)の就業者数は約8万5000人、臨時雇用者などを除いた従業者数は約8万1000人だった。

※家電大型専門店……日本標準産業分類の電気機械器具小売業(中古品を除く)または電気事務機械器具小売業(中古品を除く)に属する事業所のうち、売場面積が500m2以上の店舗を10店舗以上有する企業

※就業者数……従業者(有給役員、パート・アルバイトを含む常用雇用者、個人業主、無給家族従業者の合計)に、臨時雇用者、他からの出向・派遣従業者を加え、従業者・臨時雇用者のうち他への出向または派遣従業者を除いた数

 「商業統計」では、法人/個人事業主それぞれについて、正規雇用、非正規雇用、臨時雇用、他からの出向・派遣など、雇用形態別に細かく分類して集計しており、このうち、法人に限り、パート・アルバイトなどの勤務者を8時間労働に換算すると、雇用者数は約7万2000人となり、販売効率を示す指標の一つ、従業者一人あたりの年間売上金額は6153万円だった。

 就業者は、おおまかに常用雇用、日雇いなどの臨時雇用、他社からの出向・派遣に分かれる。常用雇用のうち、正規雇用は約4万2000人(49.6%)、パート・アルバイトなどは約4万人(46.2%)。現状、家電量販店は、パート・アルバイトなどの非正規雇用の労働者が支えている。その数はかなり多く、フルタイム勤務で換算すると、従事する人数が1万2000人ほど減ってしまう。

 しかも、男女比は、就業者全体では男性約5万3000人(63.3%)、女性約3万1000人(36.7%)と、ほぼ6対4の比率だが、パート・アルバイトなど非正規雇用は女性が54.8%と半数を超えており、逆転する。各店舗の店長に加え、本部勤務やエリア統括マネージャーなども多いと思われる正規雇用に限ると男性は80.6%、女性は19.4%となり、スーパー、コンビニ、百貨店などの小売業の典型的なイメージ通り、「男性正社員のもとで、女性を中心としたパート・アルバイト勤務者が働いている」という実態が浮かび上がる。しかも、小売業全体に比べ、女性の比率は低く、男性が多いのが特徴だ。

 総務省の「労働力調査」によると、2016年現在、日本の労働者の約4割弱が非正規雇用であり、一連の「働き方改革」の柱の一つとして、雇用形態による格差の是正や、同一労働同一賃金の実現に向けた法改正が検討されている。

 営業時間の長い店舗は、交代制のシフト勤務を組まざるを得ず、短時間勤務者中心のほうが生産性が高まる可能性がある。人の代わりに、バックヤードの単純作業や誰でもできるレベルの接客をロボットに任せる方法も考えられる。「働き方改革」の議論を経て、男女比や雇用形態の比率、販売効率を示す指標がどのように変わるか、数年後に改めて比較したい。(BCN・嵯峨野 芙美)