ラクトバチルス カゼイ シロタ株顕微画像。(画像:ヤクルト/JAXA発表資料より)

 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)とヤクルトは、2014年以来、「閉鎖微小重力環境下におけるプロバイオティクスの継続摂取による免疫機能及び腸内環境に及ぼす効果に係る共同研究」に取り組んでいる。これまでに行われた予備的な研究は順調に進行し、いよいよ2017年度から、国際宇宙ステーションに滞在している宇宙飛行士らによる、プロバイオティクスの継続摂取の実際の実験が始まる。

 ところでプロバイオティクスとは何か。一般に販売されているヨーグルトなどでも目にするようになったため、言葉自体はご存知の方が多いかと思うが、プロバイオティクスとは、分かりやすく説明すると、腸内の環境を改善する、健康によい性質を持つと認められた種類の菌のことである。

 そもそも乳酸菌というのは乳酸発酵を生じさせる菌の総称であり、その種類は無数にある。プロバイオティクスに選ばれている乳酸菌は比率からいえばごく限られるが、それでも結構な数と種類に上る。この研究に用いられているのは、ラクトバチルス カゼイ シロタ株といって、耐熱性が強く、生きたまま腸内を移動する性質を持った、ヤクルト独自のプロバイオティクス乳酸菌である。

 地上でラクトバチルス カゼイ シロタ株を摂取するときは普通にヨーグルトの形で摂取すればいいのだが、特殊な環境で長期保存しなければならない都合上、この研究は宇宙ステーションで宇宙飛行士がヨーグルトを食べるという研究ではない。あくまで、プロバイオティクスだけを凍結乾燥し、専用のカプセル(これを開発するためにこれまでの予備研究の期間が投じられた)に収め、それを服用するという形を取る。

 研究の終了は2020年と予定されている。民間人が(金額の多寡はともかく)自費で宇宙に行ったなどという話が聞かれるようにまでなった当今の時代ではあるが、宇宙が過酷な環境であることに変わりはない。宇宙飛行士の健康の維持管理のため、ヤクルトの独自製品が活躍してくれるなら、大いに結構なことである。