Doctors Me(ドクターズミー)- 水分補給だけで痩せる体質に!? 健康維持に最適な正しい水の飲み方

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人間は生きていくうえで水は必要不可欠ですので、毎日何かしらの形で水分補給をしている方がほとんどかと思われます。

アメリカでは、水を飲むこと自体の健康効果の研究が行われており、そこで、とある一つの結論にたどり着いたのです。

今回は医師の建部先生に、アメリカで行われた研究の解説、1日の水分補給目安、水分補給の正しいタイミングなどを解説していただきました。

水を飲むことによる健康効果に関する研究


研究背景


アメリカ合衆国のイリノイ大学のルオペン・アン教授は「水を飲むことは糖添加飲料(いわゆるジュース類)を飲むより健康に良い事は明らかだが、水を飲むこと自体に健康効果はあるのか?」について着目しておりました。

そして、2005年〜2012年米国民健康栄養調査にデータが残っている18歳以上成人18,311人の協力を得て調査を行いました。

研究内容


協力者の18,311人に3〜10日の間隔を置いて2回、1日の飲食物すべてを記録してもらいました。

その記録の取り扱いにおいて、 以下のようなことを実施し分析したのです。

・1日の食事の総エネルギー量、塩分、糖分、脂肪の摂取量、コレステロール値、水分の摂取量を計算

・紅茶やコーヒー、加糖飲料類は、水道水やミネラル水のような「純粋な水」に含まず、「総水分量」扱い

・食べ物に含まれる水分もすべて「総水分量」に含めて計算

研究結果


毎日、1日に摂る「純粋な水」(水道水とミネラル水)が1%だけ増えるだけで、総カロリー値にして、平均8.58kcal/日減ったことが判明しました。

その他にも以下のような結果が比較的規模の大きな疫学的調査により示されました。

・わずかながら砂糖添加飲料によるカロリー、自己裁量分食によるカロリーの摂取低下と関連があること

・飲料水摂取の効果は、人種、民族、教育、収入、体重といった状態で似通う傾向を示した

・全体としては高齢者や女性よりも、若年〜中年の男性で、効果が大きかった

簡単に言ってしまえば、水の摂取量を増やすと食べ過ぎを少しばかり防ぐことが証明された、ということになります。

今回の研究による今後の展望


水を飲むこと自体に効果があるのではなく、水を飲むことによって胃腔内が食べ物の替わりに満たされるため、ある程度のカロリー、脂肪過剰摂取抑制効果が示されたと推測されます。

実際、この疫学調査において身体活動量、労働量が大きくその分、カロリー摂取量も多くなる若年〜中年の男性において最も効果が大きかったのもそのためと考えられます。

このことから日頃、外食の機会が多くなってしまう働き盛りの男性ほど、水分補給を心がけると生活習慣病のリスクを多少なりとも小さくすることが期待できます。

《参照》
・WILEY

1日に必要な水分の摂取量と摂取方法


1日に必要な水分


成人が1日に必要とする平均的な水分摂取量は、体外に出されてしまう水分を計算することで分かります。1日に排出される水分量はおよそ2〜2.5Lになります。

1日の平均的な食事から得られる水分量が1Lとした場合、水、お茶などの飲料として補給する水分量は1.5L必要となります。

正しい水の摂取方法


1度にたくさんの量を飲むと胃腔内の胃酸が希釈されて消化不良になったり、下痢をする、相対的に体内のナトリウムが急激に低下して易疲労感の原因となり、医学的にはおすすめできません。

無理なく水分を摂る方法としては1日の中で分散摂取が現実的です。

水分補給の望ましいタイミング


起床後


よく起床直後に冷たい水分を摂る方がいますし、これをすすめるような情報も目にしますが、医学的にはおすすめはできません。

朝起きてすぐはまだ体の機能が目覚めていないので、その体内に冷たい水分が入ると急激な体温低下を招きます。

体温低下を代償しようと体温、血圧が急上昇すると消化管の動きも鈍くなり、その後の朝食摂取で消化管の負担が大きくなり得るため、便秘や胃もたれ等の一因となる可能性があります。

起床直後に水分摂取をする場合は、常温程度のコップ1〜2杯の水分摂取が、体への負担が小さく、睡眠時の汗や呼気などで失われた水分補給には適しています。

なお、逆に起床後30分以上が経過していれば、体の機能は目が覚めていて、多少の変化に順応できるようになっていますので、冷たい水分を適量摂取する分には問題はありません。

入浴の前後


入浴に際して人は汗をかいて水分・電解質が体外に排出されています。入浴中、入浴後に脱水で意識を失う方も散見しますので、水分を補うことが重要です。

汗をかく量は個人差が大きいのですが、入浴前後にコップ1杯の水分を摂取をしておくとよいでしょう。

運動の途中・運動後


運動に際しても当然、汗が出て水分・電解質が体外に排出されています。熱中症を含む著しい脱水状態を予防する意味でも運動中・運動後の水分補給は重要です。

食事の後


日常生活の中で、食事メニューによっては食後に喉の渇きを覚えることもしばしばです。喉の渇きを感じたら出来るだけ我慢せずに水分補給をすることが大切です。

水を飲むことによる健康効果


老廃物除去


人が取り込んでいる飲食物には、化学的にみて「水に溶けるもの」「脂質に溶けやすいもの」の2通りが存在します。その代謝によって生じた老廃物も同様です。

水に溶けやすい老廃物が、水分摂取量の増加により腎臓や汗腺から排出されやすくなります。老廃物は人が生命活動をする限り四六時中、発生していますから常温の水を1日を通して何回かに分けて飲むことをお勧めします。

血液粘度の低下


運動や発熱、老廃物の希釈・排出のため体内の水分は常に失われています。

適切に水分補給でまかなうことにより、血液粘度が一定レベルの抑えられ血栓発生も防ぐことができるため、エコノミークラス症候群や脳血栓症、心筋梗塞を予防し得ると考えられます。

細胞、組織内での水を利用した生体内化学反応の活発化


体内に取り込んだ糖質・脂質・アミノ酸等を必要に応じてエネルギーに変換したり、皮下脂肪などの貯蔵エネルギーに変換するといった生体内の酵素を介した化学反応に水は不可欠です。

水分摂取を一定量維持することが、生命活動を活発化させ健康によい影響をもたらします。

pH調整効果


人の体は生命活動により常に排出物として有機酸を生じやすい、すなわち体内環境が酸性に傾きやすいという特徴があります。その傾きが著しいと体内の酵素活性が鈍くなり生命活動に支障を呈します。

これを緩和するため最も即効性があるのが水なので、常温の水を日常的に飲むことが、体内の酸を減らすのに役立つため、pHのバランスを整えることを可能にします。

発熱時の体温低下作用


発熱時は血管の中だけが脱水になっている血管内脱水を起こしていることが多いのですが、常温の水を素早く飲むと速やかに体温低下に働き、同時に体内の循環のための管を広げるため血液がより循環しやすくなります。

6種類の水のそれぞれの特色

水道水



日本では水道法の厳しい水質基準の設定により、水道水の水質を高品質に保つよう浄水処理を徹底しなければならならず塩素消毒、殺菌もなされているため、大腸菌、赤痢菌など細菌感染症予防の点で安全である点が挙げられます。

健康の前にまずは安全な飲料水が、蛇口をひねれば当たり前のようにいつでも不自由することなく使える環境は、生活において重要かと考えます。

浄水器



浄水器は、そのフィルターとしている濾過材質によって、水道水の浄水過程で除去しきれなかった不純物などを除去することができ、きれいでより安全な水が使えるというメリットがあります。

軟水のミネラルウォーター



日本の水は基本的に「軟水」で、ヨーロッパでは「硬水」が多めです。

ミネラルウォーター1L中に、主にマグネシウム、カルシウムなどのミネラルがどれだけ含まれているかをあらわす基準を「硬度」と言い、その含有率によって硬水と軟水とが分けられています。

軟水のミネラルウォーターのメリットとしては、以下が挙げられます。

・体内への吸収が相対的に良い
・ミネラルをあまり含まないために胃腸への負担が少ない
・老廃物の排出促進とそれに伴う二次的な美肌効果が期待できる

硬水のミネラルウォーター



マグネシウムが含まれている硬水の場合、マグネシウム自体に緩下剤、制酸剤としての効果があるため、その摂取量によって下痢傾向になることで便秘が改善したり、肉類をよく食べている人では、胃のもたれが多少すっきりする場合があることでしょう。

しかし、硬度が高いほど、硬水ミネラルウォーターは喉ごしが重く、苦みがある水なので、軟水に慣れている日本人には飲みづらいという欠点があります。

お湯(90〜100℃)



お茶やコーヒーなどの形で、少量ずつ口に含み飲むことで冬の寒い時期に冷えた体を徐々に温め、その時期不足している体内水分を補うという点はあります。

白湯



胃腸炎症状、脱水状態が小さなお子さんや高齢者の方に生じた場合、体温程度になった白湯を少量づつ経口摂取させ水分を効率よく体内へ提供することが可能です。

手軽にかつ幅広い年齢層の方に水分補給を行える点で、健康効果があると言えるのではないかと考えられます。

炭酸水



炭酸水を飲むことによって、一時的に胃腔内が二酸化炭素で占められ疑似的な満腹状態になるため食欲抑制に働きますが、その後の吃逆で二酸化炭素が排出されたり胃酸も分泌促進されたりして食欲が増進します。

ダイエット目的で炭酸水を食事前に飲むのであれば、500mlのペットボトル1本程度の炭酸水を飲まないと、1回あたりの食事摂取量がかえって増えてしまう可能性が高いです。

また、炭酸水のみならず炭酸入りの清涼飲料水も同様ですが、消化管粘膜への刺激が強いため、消化性潰瘍、炎症性腸疾患などの持病がある方においては、その消化器病の病状を悪化させる可能性があります。

間違った水分補給方法とそのリスク


体に合わない硬水を飲用し続ける


摂取量や個人差もありますが、生まれてから軟水に慣れ親しんでいる私たちの場合、硬水に含まれるマグネシウムで軟便〜下痢傾向となることがあります。

またカルシウムも相対的に取り過ぎた場合は、尿路結石症や軽度の高カルシウム血症による倦怠感や喉の渇き、食欲不振や多尿などが懸念されます。

豊富なミネラル分は逆に内臓に負担を与えるので、特に内臓の機能が未熟な赤ちゃんや子供(小学校低学年ぐらいまで)には適していません。

一度に多くの水分摂取をする


一度に多くの水分を摂取するとその時だけは、体内、血管内に水分が行き渡りますが、不要な水分はほどなく尿として体外に排出されます。

そうなるとそれ以外の時間帯は水分が少ない状態になり、継続的かつ効率の良い水溶性老廃物の排泄ができないことになります。

結果、老廃物蓄積傾向による易疲労性や肌荒れ、顔色不良などの症状が現れ、運が悪いと血管内脱水により血栓が作られ、これがエコノミークラス症候群や脳血栓症、心筋梗塞の発症につながる可能性があります。

また、一時的な多すぎる水分摂取は下肢のむくみの原因の一つにもなり得ます。

体内の水分不足によって引き起こされる疾患


熱中症


水分のうちたった4%失っただけで体温が上昇し、熱中症発症リスクが高くなってしまいます。

心筋梗塞


体内の水分量が不足すると血液の粘度が高くなり、血流が悪くなり血栓を生じやすくなります。これが心臓付近で生じればこの疾患を発症する可能性があります。

脳梗塞や脳血栓症


心筋梗塞と同じく、血栓が脳の近くで発症すると、脳梗塞や脳血栓症を患う可能性があります。

エコノミークラス症候群


脱水などにより発生した血栓が下肢や肺における静脈での閉塞、炎症が生ずる疾患で、静脈怒脹、血圧低下、意識消失なども生じ、急激かつ広範囲に肺塞栓を生じた場合は心肺停止となり、突然死することもあります。

うつ病


脱水になると脳のトリプトファン量に影響を与えることが判明しており、脱水は初期ならイラつきなどの症状が出始め、症状が進むとうつ病になる可能性があります。

こまめに水分補給するのが苦手な場合


こまめに水分補給が苦手な人はどちらかというと働き盛りの男性が多いようです。

その理由としては以下のような事柄が多いようです。

・味がないのが苦手
・冷たいのが苦手
・仕事中などにトイレに何回も行くことになる

しかし、著しい心不全や腎不全があるなどの場合を除き、飲まないよりは水分は摂った方がよいと考えられますので、あまり糖分を含まない非炭酸系の清涼飲料水を飲み過ぎない程度で飲んだり、過度に冷やさずできるだけ常温に近い温度で小分けにして飲んでいただければ良いでしょう。

お手洗いに関しては、生命活動で生じた老廃物を排除する意味で、行きたくなったら行ける環境が医学的には望ましいので、健康の維持のためにも出来るだけ排泄は我慢することないようにしていただきたいです。

最後に建部先生から一言


水という物質は最も身近にあるのですが、化学的に見て極めて特殊な存在です。

地球上で生命活動をしている生物にとって、水は不可欠な物質で、人体も60〜70%程度の質量が水で占められています。当然、十分な水分を摂取しないことは私たちの身体のバランスを崩すことになります。

理想的なのは、様々なメリットを身体にもたらしてくれる水を出来るだけこまめに一定量摂取することです。

体が必要としている水を適切に飲んでそのメリットを最大限享受し、健康の維持、増進につながればと思う次第です。

(監修:医師 建部雄氏)