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 粉飾決算が明らかになる企業が増えている。その数は2011年から5年連続で増加し、2016年10月時点で5年前の3倍にあたる48件の粉飾が開示され、しかも、そのうち約半分の23社が東証一部上場企業だった。

 最近では7000億円規模の減損損失による債務超過への転落と、中核を担う半導体事業の売却問題が取りざたされている東芝が2015年に押し込み販売などの不正を認めた。

⇒【資料】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=132787

 企業を経営難に追い込み、株主に多額の損失を被らせる粉飾決算にはどのような種類があるのか? 現役東大生にして、3月12日発売の新刊『東大式 スゴい[決算書の読み方]』著者の大熊将八氏がその見分け方を徹底解説する――

 そもそも粉飾決算とは「有価証券報告書の虚偽記載」に等しく、金融証券取引法の197条1項1号には「(有価証券報告書の虚偽記載)10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれらを併科する」とある。

 違反した場合は刑事罰の対象となり、規制当局である証券取引等監査委員会によって課徴金を負わされ、上場廃止の要件のひとつにも挙げられる。つまり粉飾は厳しく取り締まられ、ハイリスクな行為ということだ。

 にもかかわらずなぜ、粉飾決算が後を絶たないのか? その動機をまとめると、

・経営陣が赤字回避を狙い損失を隠したり利益の水増しを行う
→東芝、オリンパス、ライブドア、日興コーディアル證券、山一證券など

・経営者の掲げる無理な利益目標を達成するために現場が不正に走る
→東芝、リソー教育など

・ガバナンスの不備をついて子会社の経営陣が不正する
→江守グループホールディングスや沖電気など

・過去から続いてきた不正を経営陣が引き継ぐ
→カネボウなど

・時価総額を釣り上げ、経営者や関係者が儲けようとする
→ベンチャー企業が多い

 となる。利益をよく見せることで短期的には儲かったり、保身できるステークホルダーが多数存在するからこそ、粉飾がなくなることはないのだ。

 それでは、どんな手口が使われるのだろうか?

 粉飾の大半は「利益を大きく見せること」である。利益はある期間における企業の「収益-費用」で決まる。

⇒【資料】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=132788

 また、ある期間における企業の持つ「資産の増加分から負債の増加分をを引いたもの」とも定義される。そのため粉飾は、

・収益・資産を水増しする
・費用・負債過少計上する
・その他

の3パターンのうちのどれかに該当する。

 しかし、大半は「収益・資産を水増しする」であり、「費用・負債過少計上する」のは、主に多くの連結子会社を抱える大企業が子会社を使って損失を隠すケースで見られる。かなりレアなケースだ。

 それぞれのパターンについてさらに詳しく解説していきたい。

⇒【資料】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=132789

◆売上の水増しを行う方法

⇒【資料】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=132790

 まず、「売上債権の架空計上=売上の水増し」から見ていこう。このケースでは、注文されていない商品を無理やり関連会社や懇意にしている取引先に納品し、代金は受け取らないまま売上に計上する「押し込み販売」や、関係会社間でお金と伝票だけをぐるぐる循環させ、実際の商品は納品されないが売上だけ積み上げる「循環取引」。そして、工事費総額を故意に過少に見積もることで売上を押し上げる「工事進行基準(の濫用)」の3つが挙げられる。ちなみに今回、東芝は3つともすべて行っていたとされる。

⇒【資料】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=132791