歴史が歪められ伝えられている

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 今年もおぞましい反日映画が公開される。今回の舞台は2015年にユネスコ世界文化遺産に指定された長崎県の「軍艦島」だ。戦時下の朝鮮人“強制労働”と脱出劇を描くこの作品。一体、どんな内容なのか。

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「1945年、日帝占領期。海底1100m。脱出することも死ぬこともできない。私たちは、そこを“地獄島”と呼んだ」。

 こんなフレーズと共に流れる1分ほどの映像。今夏公開予定の韓国映画『軍艦島』の予告編だ。公開されたダイジェストシーンと、本誌の取材で得た情報から作品の内容に迫ってみよう。

 映画の舞台は太平洋戦争末期の長崎県・端島(通称=軍艦島)。明治時代から海底炭鉱で栄えたこの島に、朝鮮人が続々と“強制連行”されてきた。その数、およそ400名。彼らに課せられたのは、海面下1000m超、摂氏40度に及ぶ炭鉱での過酷な労働だった。

 朝鮮人炭坑夫に与えられたのは、ヘルメットと簡易な作業着に掘削用具のみ。就業規則を伝える日本人は、「各自に支給されるすべての個人用品は初任給から差し引く」「社宅の家賃は毎月の給料から先に天引きされる」と言い放つ冷酷な人間として描かれる。

 ケージに押し込められ海底炭鉱に送られる彼らは、皆一様に絶望の表情を浮かべている。腰を伸ばすこともできない坑道を這いつくばるように移動し、しゃがみこんだまま採掘作業をする朝鮮人炭坑夫。その中には、少年の姿もある。

 炭鉱内は絶えずガス爆発の危険に晒され、事故で犠牲となる者が後を絶たなかった。過酷な状況の中、一部の者は島からの脱出を試みるが失敗に終わる。

 予告編の後半では、強制連行に関与した日本人にこんな酷いセリフを言わせる。

「ここでの出来事を記憶する朝鮮人たちは、一人たりとも残してはいけない」

 彼らが軍艦島の実態を口外しないよう、「口封じ」を図ろうというのだ。日本側の不穏な動きを察知した朝鮮人炭坑夫は一斉に蜂起。リーダー格の男性を囲み、抵抗の象徴であるロウソクを掲げて命がけの脱出を誓う。そして、蜂起により戦場と化した軍艦島では、日本人と朝鮮人炭坑夫の激しい戦闘が繰り広げられる。以上が映画のあらすじだ。

◆「徴用=強制連行」は誤り

「韓国映画界の若手実力派、柳昇完監督指揮の下、総製作費200億ウォン(約20億円)をかけ、トップクラスの俳優を複数起用した『軍艦島』は、今年最大の話題作として注目を集めています。観客動員数が1000万人を超えることはまず間違いない」(韓国の映画ライター)という。

 単純計算で韓国国民の5人に1人が観るであろうこの作品。公開前から「史実に基づいた映画」として喧伝されているが、プロパガンダ映画といっていいほど事実が歪められている。

 まず、映画では軍艦島で働く朝鮮人が日本によって強制連行された人々として描かれているが事実に反する。

「国家総動員法」に基づき1939年に制定された「国民徴用令」は、戦時下の労働力を確保するため、朝鮮半島出身者に限らず日本国民すべてを徴用の対象とした。銃剣を突きつけ連行するようなやり方ではなく、「白紙」と呼ばれる令状による召集だ。なお、朝鮮人に徴用令が適用されたのは1944年9月である。それまでは「募集」と「官斡旋」が主体であり、日本の官憲が朝鮮人を連行することはあり得なかった。

 過去に複数の元朝鮮人労働者から聞き取り調査を行った、東亜大学教授・崔吉城氏が解説する。

「朝鮮人労働者が日本に来るパターンは二つ。出稼ぎと徴用です。前者は朝鮮半島で生活に困窮した人が自発的に日本へ渡ったケースで、炭坑などに派遣され仕事をしていました。一方、大戦末期に行われた徴用の際も、朝鮮人労働者は数年間の契約を結び日本に渡ってきた。徴用を『強制連行』とするのは誤りです。

 また映画では朝鮮人労働者の“待遇差別”が描かれているようですが、多くの元朝鮮人労働者が『賃金などの差別的待遇はなかった』と証言しています。賃金に差が生じたとすれば経験や職能によるもので、元朝鮮人労働者たちは技術を持つ日本人労働者が高給を得ることを、むしろ当然と考えていました」

※SAPIO2017年4月号