『お嬢さん』のパク・チャヌク監督が選ぶ『私の好きな日本映画』

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『JSA』『オールド・ボーイ』『渇き』と国内外で高く評価される作品を生み出してきたパク・チャヌク監督。そんなパク監督、実は日本の映画にも精通している。サラ・ウォーターズの名作『荊の城』を映画化した新作『お嬢さん』では、登場人物の名前をソ┿哄イ貌本名に変更した監督。その理由は、監督が往年の名女優・高峰秀子を敬愛してやまないためだった。

パク・チャヌク監督が選ぶ『私の好きな日本映画』

『乱れる』1964年
私が一番好きな日本映画ですね。私は主演の高峰秀子さんが大好きなんです。彼女は、あの時代にしては驚くほど自立した女性の魅力を感じさせます。それでいて、どんな階級の役を演じても、優雅で気品があります。この映画では、かなり感情のトーンを抑えた演技をしています。でも、成瀬(巳喜男)監督とカメラマンの正確なアングルと編集に助けられて、抑えた表情でありながら100通りぐらいの感情を適切に表現している。正直、私もあんな兄嫁がいたらいいな、と思います(笑)。

『放浪記』1962年
また、高峰さんの出て来る作品ですがファンなので許してください(笑)。高峰秀子さんの魅力が満喫できる、彼女の演技のプレゼントをもらえる作品だと思います。『乱れる』が抑えた演技の最高峰だとすると、こちらは惜しげなくたくさんの表情を見せてくれて、大きな動きも見せてくれます。彼女が演じるヒロインは、社会のなかで男性達から蔑視されていますが、いつもそれを笑い飛ばしています。そんな主体性のあるヒロインを、高峰さんはとても美しく演じてみせてくれています。ちなみに本作の主人公ソ┿哄イ量召蓮高峰秀子さんからいただきました。

『清作の妻』1965年
高峰秀子さんに負けないほど大好きな若尾文子さんの魅力が遺憾なく発揮されている作品だと思います。周囲から無視されたり、軽蔑されたりしているヒロインが、自分の欲望に忠実に生きて幸せを見つけようとするのですが、彼女は間違った社会にいるので社会と衝突して破滅してしまう。最後まで自分に正直で主体的な女性を、若尾さんは魅力的に演じていました。

『放浪記』も『清作の妻』も、自分の意志をしっかりもって社会のなかで生き抜いていくヒロインの話ですが、『お嬢さん』の秀子やスッキと重なるところがあります。私はそういう女性達が好きなのです。そういう女性達が頑張っている姿は本当に美しい。それは『お嬢さん』で描きたかったことのひとつです。秀子もスッキもひとりだと弱い立場にいて限界に来ていますが、二人が力を合わせることによって自由になれる。女性に限らず、社会的に弱者の人たちが、自分達が置かれた状況に屈服せずに立ち向かって行く姿は美しいし、そういう人達こそ英雄だと思いますね。


PARK CHAN-WOOK
パク・チャヌク 1963年8月23日生まれ。92年に『月は・・・太陽が見る夢』で監督デビュー。2000年『JSA』は国内興行記録を塗り替え、大ヒットを記録。『オールド・ボーイ』(03)ではカンヌ国際映画祭審査特別グランプリ、『渇き』(09)ではカンヌ国際映画祭審査員賞受賞を受賞。2013年の『イノセント・ガーデン』でハリウッドに進出するなど、国際的な映画監督として活躍している。

『お嬢さん』
監督/パク・チャヌク
出演/キム・ミニ、キム・テリ、ハ・ジョンウほか
3月3日(金)より、TOHOシネマズ シャンテ、TOHOシネマズ 新宿ほかにて公開
http://ojosan.jp/