試合後にはサポーターの前でチーム全員で勝利を喜んだ。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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[J1リーグ 3節]川崎 2-1 柏/3月10日/等々力

【川崎 2-1 柏 PHOTO】中村憲剛が1ゴール1アシストの活躍!川崎が2-1で柏を下す。
 

 鬼木新体制となり、新加入選手との融合に時間がかかっていた川崎が、今季一番と言える内容で柏を下した。
 
 この日、川崎が採用したシステムは4-2-3-1。守備陣ではCBの奈良がリーグ戦では約10か月ぶりに先発出場する喜ばしいトピックはあったが、大島とE・ネットのダブルボランチを含め、その他の顔ぶれは前節から大きな変化はなかった。一方で目立ったのは通常とは違う前線の並びだ。
 
 中盤2列目は左から登里、中村、小林が入り、1トップには「プロ初」という阿部が起用された。この新システムがもたらしたのは、開幕から数試合はなかなか披露できなかった前線の流動性だった。まず攻撃時には、登里は主に左サイドを仕事場としたが、中村、小林、阿部は自由にポジションを入れ替え、相手に的を絞らせず、時には4トップの形で柏ゴールを脅かした。
 
 そして守備時には「相手の前の選手は強力なので、後ろに良い形でロングボールを蹴らせたくなかった」(阿部)と、中村と阿部は横並びの形で柏の2CBにプレスをかけ、小林と登里は果敢にSBに寄せた。この時もシステムは4-2-4へと変化し、ボールを奪えば、数人が連動して素早く攻め込んだ。
 
「ミーティングではオニさん(鬼木監督)が攻守で圧倒しようと言っていた。フロンターレに入って長いが、守備でも相手を圧倒したのは久しぶり。相手のやりたいことを、なかなか出させなかった。それを体現できたのは大きな勝利だった。今日ぐらいみんながファイトすれば、そんなに簡単に屈するチームではない」(中村)
 
「前半は攻撃でも守備でも圧倒できました。フロンターレに入ってこんなに圧倒できた前半はなかったかなと感じます。あれを90分続けるのはなかなか難しいですが、憲剛さん(中村)、アベちゃん(阿部)、僕とノボリ(登里)が牽制する守備ができていた。ボランチやDFも連動していたので、相手は出す場所がないような状態だった。全員が戦っていたし、手を抜いたり、球際を戦わない選手がいなかった」(小林)
 
 選手たちの言葉からもその手応えは強く感じられる。
 ただ、「レイソルがつないでくるチームだったというのはある。蹴ってくるチームだったらまた違う。そこはチームとしていろんな相手と戦って選択肢を増やしていくことが大切」(中村)という点も留意しておかなくてはいけない。
 
 阿部も「(ポジションを)固定するよりいろんなパターンがあった方が相手も嫌だと思う」と語る。
 
 柏戦は会心の勝利だったが、この日のシステムが“新生フロンターレ”の最適解だと結論付けるのは時期尚早ということだろう。
 
 さらに対戦相手との組み合わせだけでなく、現在は負傷している家長が戦列復帰すれば、彼を組み込んだ形も模索しなくてはいけない。それだけに鬼木フロンターレの試行錯誤は今後も続きそうだ。ただし「成功体験ができた」(中村)のは極めて大きい。
 
 これまでは生みの苦しみを味わうかのように、もどかしい内容が続いたが、柏戦で納得のパフォーマンスを見せられたことでチームは前へ進める。
 
 一歩一歩確実に歩みながらシーズンの終盤に向かってベストな態勢を整える――。これが今の川崎にとって必要なことなのだろう。
 
取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)