<トランプ政権はオバマ政権にくらべて軍事行動を命じることをためらわない。「イスラム過激派」掃討のためには積極的に軍を使う。だが政策的な熟慮を伴わない軍事行動には、想定外のリスクが伴う>

米軍は今月初め、イエメンのアルカイダ系組織「アラビア半島のアルカイダ(AQAP)」に対して一週間に渡る夜間の空爆を実施し、AQAPの兵員や装備など40の標的が爆撃の炎に包まれた。ここ2日間程は、米軍のパイロットは爆撃の土埃がおさまるのを待ちながら、一息ついているところだ。

今回の空爆回数は、オバマ政権下で実施された年間の空爆回数をすでに上回っている。オバマ政権では、軍事行動には高官の署名が必要とされ、攻撃の承認は時間をかけた政策議論の末に出されるものだった。これに対してトランプ政権では、攻撃のゴーサインが迅速に出る。

もっと大きな視点で見れば、イエメン空爆の拡大は、シリアからアフガニスタンにかけてのイスラム武装勢力に対して、トランプがより積極的に軍事力を行使する気であることを示している。ホワイトハウスはこれまでに、シリアに米海兵隊と特殊作戦部隊を派遣し、イエメンでは海軍特殊部隊(SEALs)の大規模な攻撃を実施している。今週、米中央軍司令官は、アフガニスタンの駐留米軍を増派する考えを示した。

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作戦スピードが加速

軍事行動を命じることに前向きなトランプ政権の姿勢は、前オバマ政権とは対照的だ。オバマ政権時代、スーザン・ライス安全保障担当大統領補佐官(当時)が政策決定を握っていた時には、「国家安全保障会議(NSC)の動きは緩慢で、米中央軍の軍事作戦担当者を大いに苛立たせた」と、匿名を条件に取材に応じた国防総省の元幹部職員は話している。組織間の議論に時間がかかるために、作戦は何週間も棚上げされ、その間、いつどのような軍事行動を実施するか議論は空回りした。

昨年2016年の一年を通じて、AQAPがイエメンの拠点で勢力を拡大するなか、国防総省はホワイトハウスに対して継続的に攻撃を強めるべきだと説明していた。しかし結局、空爆は実施されなかった。「オバマの任期が終わってしまった」と、前述の職員は言う。

政権が交代した今年1月、オバマ政権は軍事行動の強化案をトランプ新政権に引き継いだ。すぐに作戦のスピードは加速した。新政権では、明らかに政策的な熟慮よりも迅速な軍事作戦が優先されるようになり、意志決定において軍部の役割が支配的になっている。

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現在、ホワイトハウスや国務省、国防総省のスタッフに欠員が出ていることも、原因の一つだ。多くの重要ポストが、空席のままだったり、役職の低い職員が暫定的に代行したりしている。こうした「空席のデスク」にために、イエメンでの軍事行動に関して軍司令部に即座にゴーサインが出ている。

「オバマ政権時代より、すべてがデフォルトでスピードアップしている」と、別の国防総省の元職員も話している。

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ダン・デルース