朴槿恵大統領の罷免に揺れる韓国(写真:AP/アフロ)

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 韓国・朴槿恵(パク・クネ)大統領の罷免が決定した。

 3月10日、韓国憲法裁判所は朴氏の罷免を認める決定を下したのだ。韓国国会は昨年12月に朴氏の親友である崔順実(チェ・スンシル)被告の国政介入事件をめぐって朴氏に対する弾劾訴追案を可決していた。憲法裁は審理を行ってきたが、「弾劾は妥当」として罷免が決まった。

 これにより、朴氏は韓国憲政史上初の弾劾によって失職した大統領となった。また、60日以内に大統領選挙が実施されることとなり、現状では5月9日の投開票が濃厚とされている。韓国の混乱について、経済評論家の渡邉哲也氏は以下のように語る。

「次期大統領として有力視されている最大野党・共に民主党の文在寅(ムン・ジェイン)氏は親北朝鮮派であり媚中派。アメリカとの間で合意しているTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備も従軍慰安婦問題の日韓合意も白紙化を主張している。そのため、仮に文氏が当選した場合は日米との関係悪化が予想される上、THAAD配備が白紙になった場合は在韓米軍の撤退もあり得る。いずれにせよ、アジアの安全保障上の枠組みと構図が激変する可能性があるだろう。

 危機感を抱く保守系は黄教安(ファン・ギョアン)大統領代行の出馬に期待しているが、韓国が現行の体制を維持するには黄氏が勝利する以外にないと考えられる。また、選挙の流れは北朝鮮の動向次第という部分もあるため、予断を許さない状況だ」(渡邉氏)

 一方で、韓国はサムスン電子副会長の李在鎔(イ・ジェヨン)容疑者が朴氏に対する贈賄容疑などで2月に逮捕、起訴されている。韓国は政財界のトップが完全に失墜する異例の事態に陥った。

「そもそも、朴氏が弾劾された理由のひとつはサムスンとの癒着。今回の罷免という判断は、李容疑者の裁判にも大きな影響を与えることは確実だ。もともと、トップの逮捕で司令塔を失ったサムスンは解体に向けて動き出す可能性が高いといわれており、最大の財閥であるサムスンが瓦解すれば、連鎖的にほかの財閥の崩壊もあり得る。

 李容疑者は会長の李健熙(イ・ゴンヒ)氏の一人息子であり、問題になっているのは相続のために行った持ち株会社をめぐる不正。そのため、いずれにせよ李一族によるサムスン支配は終わる可能性が高い」(同)

 今後は朴氏が逮捕、起訴される可能性も取り沙汰される韓国では、大統領選がスタートする。その動向が、世界の注目を集めることになりそうだ。
(文=編集部)