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NOKと産業技術総合研究所(産総研)、科学技術振興機構(JST))は3月9日、有機ハイドライドからの高純度水素精製が可能な高性能炭素膜を開発したと発表した。

同成果は、NOK技術本部機能膜開発部、産業技術総合研究所化学プロセス研究部門膜分離プロセスグループ 吉宗美紀主任研究員らの研究グループによるもの。

同研究グループは、燃料電池自動車(FCV)の本格普及と水素社会の実現を目指し、コストの低減に向けた水素供給技術として、有機ハイドライドであるメチルシクロヘキサンをエネルギーキャリアとする有機ハイドライド型水素ステーションの開発を行っている。

実用化においては、メチルシクロヘキサンを脱水素して生成する水素とトルエンの混合物から、FCV用水素規格を満足する超高純度水素を精製する技術の開発が必要となる。これに対して膜分離法という技術が期待されているが、水素とトルエンの分離は、既存の有機膜では水素選択性やトルエンへの耐薬品性が十分ではないという課題があった。

今回の研究では、一度の分離でFCV用水素規格を達成可能な高い水素選択性(水素/メタン選択性は3000以上、水素/トルエン選択性は30万以上)を有する炭素膜を開発。同炭素膜は、水素だけが選択的に透過できる均質な細孔を有しており、有機ハイドライド型水素ステーションでの運用条件として想定する90℃での水素/トルエン混合ガス供給時においても優れた選択性を維持でき、500時間以上にわたる安定した分離性能が確認されている。

さらに今回、この炭素膜の大型モジュール化を実施。一般的に無機膜の大型モジュール化では、膜性能のばらつきや欠陥(ピンホール)の発生などにより、スケールが大きくなるほど分離性能が低下することが知られていたが、炭素膜製造方法の改善、シール方法の開発、モジュール構造の最適化等を行い、1m3/h規模の水素精製能力を有する大型炭素膜モジュールを開発することに成功した。実運転条件による水素/トルエン分離試験で、FCV用水素規格を満足する高純度水素を安定的に製造できることが確認されている。

今後NOKでは、炭素膜の水素精製能力の向上やさらなる大型モジュール化開発を推進し、モジュールの市場展開を目指していくとしている。

(周藤瞳美)