【土屋雅史氏のJ2展望】湘南の躍動感に期待して「2」をマーク…熊本vs山形は“26歳のストライカー”に注目

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 そのスタイルを貫きながらも無念の降格を突き付けられ、J2からのリスタートを余儀なくされた湘南。諜裁監督体制6シーズン目となる今シーズンは、開幕戦で苦しみながらも水戸を1−0で振り切り、第2節でも群馬に3−1で競り勝ちましたが、その2試合で湘南の中盤を支えていたのが、チーム同様に強い気持ちで自らにリスタートを課している秋野央樹です。

 ジュニア時代から柏で育ち、U−18所属時には2011年のFIFA U−17ワールドカップで世界8強を主力として手繰り寄せると、2013年の夏にクラブユース選手権で全国制覇と大会MVPを経験。中村航輔、小林祐介、中川寛斗と4人のトップ昇格者を出した“黄金世代”とも言うべきチームをキャプテンとして牽引するなど、将来を嘱望されていた秋野ですが、トップチームではなかなか出場機会を得られません。ただ、U−18時代の指揮官でもある下平隆宏監督がトップの監督に途中就任した昨シーズンは、過去最多の23試合に出場し、キャプテンマークを巻いた試合も。今シーズンはさらなる飛躍も期待されていた中で、彼が選択したのは湘南への期限付き移籍という道でした。

 2試合連続でのスタメンとなった群馬戦。前半の立ち上がりから押し込み、先制した湘南でしたが、25分過ぎに食らった1本のシュートをきっかけに、ゲームの流れを手放してしまいます。「そういう時に大きく1回切るとか、前線の選手が体を張ってファウルをもらったりしてこっちのペースに戻せるかとか、そういうふうに試合の流れをもっと読まないといけないですし、気付いた選手が周りに伝えていかないと、この先も難しいゲームが増えると思うので、そういう所も反省点ですね」と話した秋野。クロスバーを直撃した自らの右足シュートについても、「当たった感触も悪くて、『ああ、浮いた…』と思って」と苦笑いしながら、「もう練習するしかないですね」と続けるなど、しきりに反省が口を衝くあたりに、現状への危機感や成長への欲求を強く感じました。

 初めて柏を飛び出したこの2カ月弱の日々を「自分の中で手応えは凄くありますし、守備の面でアグレッシブに前から行かないと、ここでは試合に出られないですから。そういうのを求めてここに来ましたし、『自分もまだまだ伸びる可能性があるな』ということは改めて分かったので、これからも努力していければなと思います」と総括した22歳にとって、勝負の1年はまだまだこれからではあるものの、決して悪くないスタートをチームと共に切れたのも確かな所。2連敗と苦しい開幕を強いられた金沢と対峙する今節のアウェイゲームも、秋野を中盤に据える湘南の躍動感が上回ることを予想して、ここは「2」で勝負したいと思います。

 降格シーズンとなった昨年はJ3降格もちらつくなど、最終的には14位ながら苦しい時期の長かった1年間を経て、木山隆之新監督の元で3年ぶりのJ1復帰を狙う今シーズンの山形。開幕戦で京都に2−1、第2節で千葉に1−1と、昇格争いのライバルと対峙した2試合で勝ち点4と上々の滑り出しを見せた中で、共に1990年生まれであり、共に愛媛から加わった2人のストライカーがきっちり結果を残しています。

 9番を背負うのは瀬沼優司。2012年には清水の特別指定選手として、J1デビュー戦でいきなり初得点を奪うなど、鮮烈な印象を携えてプロの第一歩を踏み出しましたが、その清水では2シーズンでわずかに二桁へ届くほどのリーグ戦出場しか果たせません。2014年には期限付き移籍で加入したJ2の栃木で7得点を奪ったものの、戻った清水では再びポジション争いの壁に阻まれ、翌シーズンから木山監督率いる愛媛へ新天地を求めると、攻守の高い貢献度が認められて定位置を完全に確保。昨シーズンはキャリアハイの10得点を叩き出し、大学の先輩でもある木山監督と揃って山形へとやってきました。

 11番を背負うのは阪野豊史。浦和ユース時代には山田直輝、濱田水輝、高橋峻希、原口元気らと“黄金世代”の一角を担いつつ、明治大学での4年間を経て帰還したトップチームでは、強烈なライバルたちを前に出番も得点も得られず、2015年には瀬沼同様に栃木へと期限付きで移籍することに。ここでリーグ戦41試合出場と実戦経験を積み上げたことが大きな自信となり、昨シーズンは愛媛で一気にブレイク。リーグ戦全42試合に起用され、チームトップの12得点をマークするなど、その能力を開花させると、やはり瀬沼同様に木山監督と同じタイミングで山形へと加わることとなりました。

 京都戦では瀬沼が瀬川和樹のクロスをヘディングでねじ込み、今シーズンのチーム初得点を記録して、勝ち点3獲得の一端を担って見せれば、千葉戦では阪野も南秀仁の巧みなパスを押し込んで先制点を奪うなど、早くも2人のストライカーは得点という形で自らの価値を証明し始めています。今節対戦する熊本も1勝1分と好スタートを切っていますが、開幕戦で2得点の活躍を見せながら、前節は欠場となった安柄俊も実は1990年生まれであり、彼が出場するのであれば、この一戦はどの“26歳のストライカー”が活躍するのかも注目すべきポイントになってきそうです。ただ、今回は南も含めたアタッカー3枚の破壊力を考慮して、アウェイから山形が白星を持ち帰る「2」という予想とさせてください。

文=土屋雅史

予想難易度が高いとされるJ2は、toto当せんのカギを握る重要な要素の一つ。国内サッカー事情に精通した土屋雅史氏がJ2を徹底解剖する! 『今週のJ2(http://www.totoone.jp/j2/)』はサッカーくじtoto予想サイト『totoONE(http://www.totoone.jp/)』にて好評連載中。
※本文中の「1」はホームチーム勝利、「0」は引き分け、「2」はアウェーチーム勝利。

■明治安田生命J2リーグ第3節
2017年3月12日(日)13時キックオフ
ツエーゲン金沢vs湘南ベルマーレ(石川県西部緑地公園陸上競技場)

■明治安田生命J2リーグ第3節
2017年3月12日(日)13時キックオフ
ロアッソ熊本vsモンテディオ山形(えがお健康スタジアム)