モンスター15歳である。久保建英だ。

 高校進学を間近に控えるこの少年は、U−20日本代表の一員としてFC東京との練習試合に出場した。3月8日のFC東京小平グラウンドは、日差しが降り注ぐものの風が冷たかった。内山篤監督が率いるチームは、5月20日開幕のU−20W杯に出場することになっている。

 内山監督が招集した22人のうち、Jリーガーは20人を数える。プロ3年目の選手もいるチームで、久保は異分子ではないのである。

 それだけでも驚かされるのに、この15歳は攻撃に違いを生み出すからおそろしい。ハイプレッシャーのなかでボールを受け、味方へつなぐだけでなく、積極的なアクションを起こすのだ。身体がひと回り小さいとか細いといった理由ではなく、仕掛けのドリブルやスルーパスで見る者を惹きつけていた。試合後の学ラン姿を見なければ、中学生ということを忘れてしまいそうになる。

 将来を見据えての招集ではない。戦力として見込まれている。

 オフェンシブなポジションならどこでもこなせる久保だが、このチームでは2トップのひとりを任されることになりそうだ。183センチの小川航基とのコンビは、強さのあるターゲットマンとアジリティ豊かなセカンドトップの組み合わせという意味で、かつてのドルトムントのデゥオ──ロベルト・レバンドフスキと香川真司を思い起こさせる。
 
 小川が収めたボールを前向きで受けるといったシーンが増えれば、久保の良さが引き出される。相手ゴールへ自ら迫っていくこともできるし、スルーパスを狙うこともできる。久保にボールが入ると小川や2列目が飛び出す連携も、すでにFC東京戦で見ることができていた。
 
「上の世代なので緊張しますけど、グラウンドに入ったらやるしかないと思っています」と話したように、ピッチ内での久保は戸惑いも、遠慮も、迷いも感じさせない。自らがボールを要求する声はもちろん、CBにボールの動かし方を指示するなど、15歳は頼もしさも感じさせる。およそ2か月後に韓国で開催されるU−20W杯で、世界デビューを飾る可能性が高まってきた。
 
 U−20日本代表が主力抜きのFC東京を下した一戦には、Jリーガーではない選手がもうひとり出場していた。ジュビロ磐田U−18の伊藤洋輝である。

 チーム事情で不参加となった三好康児(川崎F)に代わる招集だが、186センチの大型ボランチはU−18日本代表で主軸を担っている。ひとつ上の世代に混じっても、落ち着いてプレーすることができていた。

 186センチのサイズを持ち、なおかつレフティーのボランチとなると、日本では希少価値が高い。視野の広さを感じさせ、展開力もある。「スケールの大きな」という表現が似合うタイプだ。

 名波浩監督がチームを率い、中村俊輔が加入したジュビロは、レフティーにとって最高の環境と言っていい。攻撃でも守備でも、ゲームのビジョンでも駆け引きでも、ありとあらゆるものを学ぶことができる。二人の元日本代表からエッセンスを吸収していけば、この18歳も世界のピッチに立つかもしれない。