By BTC Keychain

Googleの人工知能部門「DeepMind」の技術はがん治療にも応用されるなど、医療部門への進出も果たしています。DeepMindのヘルスケア部門として「DeepMind Health」も発足しており、イギリスの国民保健サービス(NHS)とも連携をスタートしているのですが、「GoogleがNHSに対して権限を持ちすぎる」という懸念から批判も巻き起こっています。そこでGoogleはビットコインを実現する技術「ブロックチェーン」を使った分散型デジタル台帳システムを計画しており、医療分野の個人情報を扱う上での信頼を勝ち取ろうとしています。

Google's DeepMind plans bitcoin-style health record tracking for hospitals | Technology | The Guardian

https://www.theguardian.com/technology/2017/mar/09/google-deepmind-health-records-tracking-blockchain-nhs-hospitals

Trust, confidence and Verifiable Data Audit | DeepMind

https://deepmind.com/blog/trust-confidence-verifiable-data-audit/

DeepMind Healthは、イギリスの病院およびNHSと連携して、最終的には患者の個人情報をリアルタイムで追跡する新技術「Verifiable Data Audit」の2017年内の開始を予定しています。Verifiable Data Auditは患者のデータを暗号化して自動的に記録していくデジタル台帳のことで、パートナー病院はこの技術を用いることで、必要な患者の情報を個別に管理することなく照合することや、集められたデータに基づいて「急性腎障害の可能性がある」など、深刻な病気を検出することも可能とのこと。



これらのシステムを構築する上で、GoogleはNHS財団のロイヤル・フリー・ホスピタルとデータ共有契約を交わし、過去5年間にわたる160万人の患者のデータをGoogleがリアルタイムで扱えるようにすることに双方が合意しました。しかし、New Scientistが「GoogleのDeepMindは契約内容をはるかに超えたデータにアクセスする」と報じたことで、GoogleがNHSの個人情報を持ちすぎることが懸念され、批判が集まっていました。個人情報には、患者のHIV感染や、薬物の過剰摂取、中絶などの詳細も含まれます。

批判を受けてDeepMindは患者側に対して説明会を行い、DeepMind Healthで扱うデータはGoogleと共有されないこと、データの共有には患者の同意が必要なことなどを説明したとのこと。加えてDeepMind Healthのブログでは、データを保持している組織が、同意なしに患者の記録を研究目的に使用することはできないようになっているなどの旨を説明しています。

このように繊細な個人情報を扱う上で、DeepMindはビットコインに使われている技術「ブロックチェーン(分散型ネットワーク)」を患者のデジタル台帳に応用する計画だと述べています。ブロックチェーンは中央集権的ではなく、世界中に分散するコンピューターにデータを点在させることで、リスクヘッジを行うシステム。どのような技術なのかは、以下の記事を読むとよくわかります。

「ブロックチェーン」を2分で理解できるムービー - GIGAZINE



ブロックチェーンと同様に、DeepMind Healthのデジタル台帳の記録は追加専用になり、後で誰かが削除することはできなくなるほか、第三者による改ざんがないことも検証できるようになるとのこと。ただし、ブロックチェーンによる分散化システムは、デジタル台帳の検証を行うにあたって、システムの参加者すべての端末で複雑な計算を繰り返すことになり、参加者全員のエネルギー使用量は、キプロス共和国の消費電力と同程度になってしまうとのこと。DeepMindセキュリティ部門の責任者であるBen Laurie氏は、データの安全性を確保するためにブロックチェーンを導入することは「信じられないほどの無駄が出る」と話しています。

そのため、DeepMindはすべてのデータを分散化する必要はないと主張していますが、これらのシステムは開発中のものであるため、最終的にどのような形で完成するかはまだわかっていません。長期的には、患者がどこでどのようにデータが使われたのかを、自身で検証できるように拡張できると見られていますが、DeepMindの共同創業者であるMustafa Suleyman氏は「このようなシステムで安全なアクセスに対する懸念が出た以上、システムが完成するまでに長い時間がかかるでしょう」と話しています。