手錠と口にテープでトランプ大統領への抵抗を示す女性

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 毎年3月8日は、国連によって制定された「国際女性デー(International Women’s Day)」として、世界各国で女性をテーマにしたイベントが行われている。

 国連本部があること、女性の社会進出意欲が高いこともあり、ニューヨークでは毎年8日になると、その年のスローガンを掲げてデモ行進が行われるが、今年は特に、1月20日に就任したトランプ新米国大統領による女性蔑視の発言が、より多くの女性に自らの性別を考えるきっかけとなり、例年にないほどの大規模なものとなった。

「この日は家事も仕事もボイコットしよう」「女性の存在を尊重しよう」と、様々な人種がニューヨークのワシントンスクウェアパークに集結した。

 デモ行進を企画した団体「International Women’s Strike NYC」の呼びかけに集まった参加者は、約20,000人。参加者の多くはやはり女性が目立ったが、3割ほどは男性だった。

 ネパールからの移民でアメリカでは同イベント初参加だというナルバダさんは、

「私の国では3月8日は女性のみの祝日になっていて、女性は買い物や家事をしない日になっています。ネパールでは男女格差が深刻で、家庭内暴力なども蔓延していますが、このようなイベントを通して国がよくなることを期待しています」

 トランプ大統領について聞くと「彼は差別主義者。女性としても移民としても、彼を好きだという移民は周りにいません」と、表情を暗くした。

◆集会に現れたトランプ支持者が追い出される

 集会の最中、大統領選でトランプ支持者が使用していた帽子をかぶった男性がデモを批判する発言をし、周囲の参加者が「出ていけ!」「KKK支持者はいらない」と群衆から追い出す一幕も。

 午後6時過ぎから始まったデモ行進は、1911年にニューヨークで女性123人が被害にあった火災現場のビル※を通過。自作のプラカードを掲げながら、女性の権利を訴えた。

 国際女性デー制定に至ったきっかけは諸説あるが、1908年に15000人の女性が米国ニューヨークで女性労働者の労働時間の短縮、賃上げ、参政権、児童労働の廃止を求めてデモ行進をしたことだと言われている。

 こうした女性の社会的運動が盛り上がってきた最中、1911年にニューヨークのワシントンスクウェアパーク近くの縫製工場「トライアングルシャツウェスト工場」で大規模な火災が発生。犠牲になった146人のうち123人が女性で、14歳から23歳までの若いイタリア系、ユダヤ系移民がほとんどだった。出火時、ドアは逃走・盗難防止のために施錠されていたという。この事件をきっかけに、女性の労働組合の活動が活発化し始める。

 度重なる戦争や世界恐慌の影響で活動はいったん下火になるも、1975年、国連が3月8日を「国際女性デー」として制定。「これまでの前進を振り返り、変革を呼びかけ、国や社会の歴史上すばらしい役割を果たした一般の女性たちの勇気と決断を称える日」と位置付けている。

◆日本の男女格差は世界111位

 日本でも男女格差が叫ばれるようになった昨今、「国際女性デー」に合わせて各地で女性をテーマにしたイベントが開催されるようになった。

 しかし、昨年10月に世界経済フォーラムが発表した「世界男女格差レポート2016」によると、日本の男女格差指数144か国中111位(110位:ネパール、112位:カンボジア。東アジア最高位はフィリピンの7位)。低順位だった一昨年の101位からさらにランクを落とし、主要7か国(G7)の中でも最下位が数年続いている。女性の管理職や国会議員の少なさから、政治経済分野の格差は特に大きい。

 近年、日本では「女性専用車両」や「レディースデー」、「女子力」などといった、女性に特化したサービスや言葉が浸透してきている。

 本来、女性の社会進出の手助けとなるはずのものが、偏った使い方を続けることで、「女子=弱者」という縮図を作り上げ、性差別を助長してしまう結果となりうる。

 社会的には性別が原因で諦めざるを得ないことも多くあるかもしれないが、一人ひとりが「女性/男性だから」という考えから脱し、「個」を意識していくようになることで、解決策が生まれてくるのかもしれない。

<取材・文/橋本愛喜>